魅惑のオンラインショップ《パライソレコード》がお贈りする、カヴァーソング桃源の世界。
野田晋平(パライソレコード)
Ep.45 / 1 Mar. 2024
真冬の2月ももう終わり。私の住む場所では年々雪を見る機会が減ってきています(そのかわり夏は益々暑い…)。そんな名残理惜しさもありつつ今月は「雪(Snow)」にまつわるカヴァー曲を特集。
まるで別世界で奏でられているような甘美の音楽「エーテル・サウンド」を確立したビッグバンドマスター、クロード・ソーンヒルの代表曲「Snowfall」を米ジャズピアニスト、アーマッド・ジャマルがカヴァーした1961年リリースの実況録音盤からの1曲。まさに雪がパラパラと降ってくるようなピアノのタッチ。絶品です。
Snow Queen
ジェリー・ゴフィンとの作曲コンビで、「ロコモーション」「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロー」など数々のオールディーズ名曲を生み出したキャロル・キングがSSWとしてブレイクする前夜に結成していたザ・シティ唯一のアルバムに収録された「Snow Queen」のポール・ウィリアムスとのコンビでカーペンターズなどのヒット曲を世に送り出したロジャー・ニコルスによるヴァージョン。さすがソフトロック最高傑作と言われるアルバムに収録とだけあって、ドリーミンさがハンパない!
San Francisco Bay Blues
ディランはじめポール・マッカートニーやジョン・レノンなど全世界のあらゆるアーティストたちが歌った、ブルーズマン、ジェシ・フラー作の名曲「San Francisco Bay Blues」の米SSWフィービー・スノウが1974年のファーストアルバムでカヴァーした1曲。彼女のブルージーな声とジャズよりなアレンジ。ノラ・ジョーンズ以降のジャズヴォーカルにも通じるものがありますね!
Minnie the Moocher
ジャズシンガー、トランペット奏者、タップダンサーと1920年代よりマルチに活動したヴァライダ・スノウが映画『ブルース・ブラザーズ』のパフォーマンスでもお馴染みのキャブ・キャロウェイの名曲「Minnie the Moocher」をカヴァーしたヴァージョン。まさに女版キャブ・キャロウェイなきっぷの良いエンターテインメント!
雪の降る街を
多羅尾伴内こと大瀧詠一が〈多羅尾伴内楽團〉名義で録音した高英男らの名唱でおなじみの「雪の降る街を」をカヴァーした1977年リリースのアルバムからの1曲。ジャック・ニッチェの「ザ・ロンリー・サーファー」のようなサーフインスト。雪だけどサーフ!? 氏の嗜好性を全開にしたマニアックなアレンジ!
東京の街に雪が降る日、ふたりの恋は終わった
パリス・マッチのミズノマリが歌った小西康陽作詞作曲の名曲を現在は冗談伯爵としても活動する前園直樹がカヴァーした2009年作からの1曲。女性が歌う原曲とはまた違う雰囲気を醸し出す世界観。染み入ります。
(つづく)
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Our Covers #020 野田晋平