野田晋平(パライソレコード)
Ep.4 / 07 JUNE 2020
憂鬱さなど様々な感情を生み出す「雨」。しかしそんな雨だからこそ生まれた名曲たちが数々あります。今回は「雨」をテーマにしたカヴァーを集めてみました。
ソニック・ユースやニルヴァーナのカート・コバーンもフェイヴァリットにあげる日本オルタナシーンの先駆者少年ナイフ1991年作から、ビートルズ、オリジナルアルバム未収の名曲「Rain」のカヴァー。ど直球というかそれしかできない感じが彼女たちの魅力のひとつ。この拙さがなんでもエヴァーグリーンポップに成っちゃうんだなぁ。
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Raindrops Keep Falling on My Head
映画「明日に向かって撃て!」の挿入歌としてヒットしたB.J.トーマス「雨にぬれても(Raindrops Keep Fallin’ on My Head)」はバート・バカラック&ハル・デヴィッドのコンビが生み出した名曲中の名曲ですが、こちらはそんな2人の歌姫として数々のヒットソングを生み出したディオンヌ・ワーウィックによるカヴァー。やはり彼女が歌うとより一層バカラック感が増しますね。ドリーミンなヴォーカルも素敵です。そういえばドリカムの「晴れたらいいね」はアウトロの展開など「雨にぬれても」のオマージュソングですね。きっと!
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Laughter in the Rain
「おお!キャロル」「カレンダー・ガール」など数々のヒットで知られるニール・セダカはオールディーズアーティストのイメージが強い人ですが、70年代に入ってもその天才的なメロディセンスで数々の名曲を生み出します。その最高峰と言えるのがご存知「雨に微笑みを」の邦題でも知られる「Laughter in the Rain」。もちろん数々のカヴァーを生み出すわけですが、今回は陽気な国ジャマイカからレゲエシンガー、プルート(シャービントン)のヴァージョンを。この晴れやかなグッドヴァイヴス、たまりませんね〜
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Rainy Days and Mondays
「雨の日と月曜日はいつも気持ちが落ち込む」という地球人共通の感情を歌ったカーペンターズの名曲「雨の日と月曜日は(Rainy Days and Mondays) 」はロジャー・ニコルズ&ポール・ウィリアムスの最強コンビによるメランコリックな名曲ですが、フィリーソウルの代名詞グループ、イントゥルーダーズが歌う「雨の日と月曜日は」はもう泣き崩れる他なしの甘茶ソウルカヴァーです。美メロ&美コーラスを追撃するようなアレンジ。もちろんプロデュースはギャンブル&ハフ!
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It Might as Well Rain Until September
ゴフィン&キングの夫婦ライティングコンビで数々のヒット曲を世に送り出し、ソロでも『つづれおり』により1970年代SSWムーヴメントの象徴となるキャロル・キング。そんな彼女はブレイク以前、オールディーズシンガーとして数枚のシングルをリリースしています。「It Might as Well Rain Until September」はそんな時代の名曲のひとつでのちに数々のカヴァーを生み出しますが、女優、モデルなどマルチに活動したペギー・リプトン1968年唯一のアルバムに残されたカヴァーは最強のアレンジと魅惑のヴォーカルに悶絶してしまう原曲越えヴァージョン。プロデュースはのちにキャロル・キング『つづれおり』を手がけるルー・アドラー。ドリーミンを通り越してサイケデリックですよコレ!
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Fire and Rain
キャロル・キングの盟友ジェイムス・テイラーが1970年に残した「Fire and Rain」はまさにSSWムーヴメントの代名詞といえるような名曲のひとつで数多くのアーティストが取り上げることとなりますが、ボン・イヴェール「Skinny Love」のカヴァーで話題となったイギリスのSSWバーディー2011年のファーストアルバムにはそんなJTの「Fire and Rain」が収録されています。彼女が生まれるはるか以前の70’sサウンドを彷彿とさせるピアノ弾き語り。15歳でこの表現力ですよ。世界は広いなあ。
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I Think It’s Gonna Rain Today
向こうでは誰もが知っている曲なのでしょうか?「トイ・ストーリー」など近年では映画作曲家としての活動も盛んなランディー・ニューマン1968年のファーストアルバムに収録された「I Think It’s Going to Rain Today」はニーナ・シモン、ジョー・コッカー、ベット・ミドラーからUB40、マデリン・ペルーからノラ・ジョーンズと新旧ジャンル問わず数々のアーティストが取り上げる名曲ですが、今回はUKモッドガール、ダスティ・スプリングフィールドのヴァージョンを。ニューマンの代名詞である古き良きアメリカの再発見サウンド「バーバンクサウンド」に最も忠実なアレンジでノスタルジックながらも狂気的なストリングスが同居する世界。やはり色々な人を虜にしたのもわかりますね。
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Girl
1939年のミュージカル映画「オズの魔法使」でジュディ・ガーランドが歌った劇中歌「虹の彼方に(Over the Rainbow)」はきっと知らない人はいないと言っても過言じゃないほどの曲で、数えられないほど無数のカヴァーが存在しますが、こちらはちょっと変わり種? アウトサイダーミュージック界のアイドル「ウクレレ吟遊詩人」ことタイニー・ティムがポルカ界の革命児ブレイヴ・コンボと共演した1996年作に収録の「虹の彼方に」。あの天使と悪魔が同居するような歌声。やっぱり危険ですね。まるで「ハーメルンの笛吹き男」のようにハマったが最期、どこか知らないおとぎの国の彼方へ連れて行かれそうになります…
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(つづく)
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Our Covers #020 野田晋平