魅惑のオンラインショップ《パライソレコード》がお贈りする、カヴァーソング桃源の世界。
野田晋平(パライソレコード)
Ep.35 / 19 Feb. 2023
昨年末からの訃報に次ぐ訃報…。ポップミュージック史が始まって70年以上。悲しくても、その名曲、名演は永遠に残り続けます。今回はそんなレジェンドたちが遺した名曲のカヴァーや、ご本人によるカヴァー名演とともに追悼いたします。
エリック・クラプトン、ジミー・ペイジに並ぶ3大ギタリストの一角ジェフ・ベック。様々なグループ〜ソロと渡り歩いた中でも、彼のカヴァー曲といえばまずベック・ボガート & アピス期のスティービー・ワンダー「迷信」が有名ですが、こちらはご本人によるカヴァーではなく、ジェフ・ベックグループ期にバックを務めた英国フォークシンガー、ドノヴァン「Barabajagal」をベルギー? のバンド、ザ・フライング・ギターがカヴァーした1969年のシングル。原曲のファンキーさに引けを取らないシビれるドラムブレイク、そしてカントリーぽさもあるワルいギターが炸裂するインスト曲!
レモンティー
日本のロックンロール史に燦然と輝くギタリスト、鮎川誠率いるシーナ&ザ・ロケッツがエリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、そしてジェフ・ベックも在籍した英国ロックバンド、ヤードバーズが映画『欲望』で披露した「Stroll On」を日本語でカヴァー(スネークマンショー 「急いで口で吸え!」に収録。クレジット上は作曲鮎川誠)。劇中のジェフ・ベックの有名なギター破壊シーンに匹敵する破壊ヴァージョン。「レモンティー」は鮎川誠も在籍したサンハウス時代に既にカヴァーしています!(リンク動画には山口冨士夫の姿も)
You May Dream
モデル~テレビタレントの印象が強いですが、実は元々歌手としてデビューしていた我ら世代のカリスマ、上原さくらがシーナ&ザ・ロケッツ「You May Dream」をカヴァーした1998年のシングル。数多く存在するカヴァーの中でもオリジナルに忠実なアレンジですが、何より意外にも? ヴォーカルが魅力的。さすが歌手デビューだけありますな!
I Can’t Tell
ドクター・フィールグッド~ソリッド・センダーズ、そしてソロとその鋭利なギターでロックンロール道を歩み続けたウィルコ・ジョンソン、癌による余命宣告をされながらも幾度と来日を果たし、癌も克服したという話に安堵していた中の突然の訃報には驚きました。本作は闘病中の2013年にシーナ&ザ・ロケッツをバックに花田裕之、チバユウスケ、浅井健一、プライベーツらをゲストに迎え開催されたライブの模様を収録したDVD。ドクター・フィールグッド「I Can’t Tell」他、チャック・ベリーはじめロックンロールクラシックのオンパレード。「全ての売り上げを福島県の震災被災者の為に使って欲しい」というウィルコの意向のもと、本作の収益金はすべて福島県の震災被災者に寄付された。
Helpless
ドラムプレイは言わずもがな。他に類を見ないヴォーカルも魅力であった高橋幸宏。そんな高橋氏の耽美ヴォイスが堪能できる1984年作『Wild & Moody』より、先日亡くなったデヴィッド・クロスビーが在籍したクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング「Helpless」のカヴァー。フォーキーな原曲がアンビエントにも似た白昼夢サウンドに変化!
Drip Dry Eyes
まさに高橋耽美サウンドが爆発する1981年の名盤『ニウロマンティック』に収録。ロキシーミュージックのアンディ・マッケイも参加した「Drip Dry Eyes」の初出? ヴァージョンとなるサンディ版。エレポップな高橋版に比べ、サンディ版はダブアレンジがすごい!
僕に胸キュソ
末期YMOが硬派なサウンドから一転、アイドルちっくなテクノ歌謡で世間を驚かせた名曲「君に胸キュン」をパロディグループOMY(Oriental Magnetic Yellow)による驚きのヴァージョン。徐々に外れるメロディに妙に耳に残る「キュソ」のフレーズが放っておけない珍味ヴァージョン!
(つづく)
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- 魅惑のオンラインショップ《パライソレコード》主宰。世界中の魅惑サウンドを探し求め、中古レコードをメインに(ほぼ)毎日新入荷を更新中。
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Our Covers #020 野田晋平