魅惑のオンラインショップ《パライソレコード》がお贈りする、カヴァーソング桃源の世界。
野田晋平(パライソレコード)
Ep.7 / 03 Sept. 2020
「原曲越えなカヴァー」が裏テーマ(のような気がする)の本サイトですが、原曲越えしすぎてカヴァー曲の方が有名になってしまっているというパターンもたくさんあります。そんなわけで今回は「えっ! この曲カヴァーだったんですか?」という特集(個人的主観含む)。きっとこの後もオリジナル曲だと思って一丁前に語っちゃったりしたけど、実はカヴァーだったなんて恥ずかしい思いをするのでしょう。きっと…
※今回のYoutube視聴リンクはカヴァー曲とオリジナル曲の両方を貼ってます
説明不要ジョージ・ハリソン1987年のアルバム『Cloud Nine』からカットされ世界的ヒット「ジョージ復活」と称されたこの曲も実はカヴァー。オリジナルは23歳という若さでこの世を去ったワシントン出身の黒人シンガー、ジェイムス・レイ1962年のシングル。オーケストラアレンジされたヒップなR&Bチューン。初期ビートルズはR&Bカヴァーてんこ盛りなんで、ある意味原点回帰とも言えるかもしれませんね。
YouTube(カヴァー曲)
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I Love Rock ‘n’ Roll
ロックンロールアンセムとしてジョーン・ジェットの名を世間に轟かせた「I Love Rock ‘n’ Roll」のオリジナルは、先日無念にもコロナウイルス感染によりこの世を去ったアラン・メリル率いるアロウズ1975年のシングル。ランナウェイズとツアーを回っていた英国のテレビ番組でジョーンがこの曲を観て、カヴァーするに至ったそうですが、みなさんご存知なのはザ・ブラックハーツとによる再レコーディング版。初録音はセックスピストルズのスティーヴ・ジョーンズとポール・クックと一緒に録ったものだったんですね~ ある意味カヴァーのカヴァー!?
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Tainted Love
エレポップならぬエロポップ!? ニューウェイヴ期のエレクトロニックサウンドにエロティックとキャバレー感覚を持ち込み究極のオリジナリティを獲得したマーク・アーモンド率いるソフト・セルの大ヒット曲は女性R&Bシンガーグロリア・ジョーンズ1964年作。オリジナルは全くヒットしなかったみたいですが、よく聴けばこのビートはしっかりR&Bマナーですね。後のソロなんかでもいろいろカヴァーする音楽マニア、マーク・アーモンドの嗜好性がよく出たグッドリサイクル!
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Walk Don’t Run
ここ日本にもエレキブームを持ち込み、歌謡曲にまで影響を与えたサーフロックの雄ベンチャーズ。彼らの代表曲といえば「10番街の殺人」や「ウォーク・ドント・ラン」などがありますが、「Walk Don’t Run」はジャズギタリスト、ジョニー・スミスがオリジナル。あの陽気なテケテケサウンドとは真逆のクールでナイーヴな質感にはちょっと面食らいますが、逆にベンチャーズのアレンジセンスの凄さが伝わります。ちなみに「10番街の殺人」もブロードウェイミュージカル「オン・ユア・トウズ」の劇中曲がオリジナル。まあアレンジの凄さで言えばこっちの方が凄いんですが。
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Revolution Rock
セックスピストルズと並ぶUKパンクのレジェンドとしてのちの音楽の新たな流れをこじ開けたクラッシュ。彼らの代表曲のひとつである「I Fought the Law」はバディ・ホリー死後のクリケッツがオリジナル。ボビー・フラー・フォーのカバーにより有名になったR&Rナンバーが元ですが、パンク経典として語り継がれるサード「London Calling」の終盤を飾るこの曲もレゲエシンガー、ダニー・レイがオリジナル。クラッシュのパンキーレゲエなアレンジとは違いだいぶレイドバックしてますが、これはこれでハマるヴァージョン。クラッシュはその音楽性の雑食性を物語るかのごとく、いろんなジャンルの曲のカヴァーを録音しています。
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Seven Days Too Long
「カモン・アイリーン」のヒットで知られるケヴィン・ローランド率いるソウル~ネオモッズ系バンド、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ1980年のファーストに収録されクラブシーンでも再評価されたこの曲はノーザンソウルクラシック、チャック・ウッド1967年作がオリジナル。原曲越えが裏テーマながらコレはどうしても越えられないファンキーチューン。ブっといビートがたまりまへん!
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I Believe in Miracles
クラブシーンといえばこの曲も。レアグルーヴ〜フリーソウルムーヴメントにおける究極のクラシックとして誰もが踊り狂ったジャクソン・シスターズ「I Believe in Miracles」になんとオリジナルが存在した!? とあるノーザンコレクターによりイタロ系SSWマーク・カパーニによるこの曲が発見されたのはある意味音楽事件簿のひとつでした。もちろんオリジナル7インチはレア盤となりましたが、2010年名門「JAZZMAN」がめでたく再発。ソウルではありませんが、このメランコリックなグルーヴ、クセになりますね。
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Wild Thing
チャーリー・シーン主演のベースボールムービー「メジャーリーグ」の主題歌として世界的にヒットした…というより我らオジさん世代にはどうしても大仁田厚の入場曲としての印象が強すぎるLAのバンドXのヒット曲「Wild Thing」は英国のガレージバンド、トロッグス1966年のシングルがオリジナル。あのスタジアムロック的な壮大さとは違う荒削りなサウンドでジミヘンもライブなどでカヴァーした名曲。余談ですが、XがX JAPANに改名したのはアメリカ進出の際、すでに本国にXがいたから。
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She
映画「ノッティングヒルの恋人」の劇中歌として大ヒットした「She」は今やエルヴィス・コステロの代表曲として多くの人に知られることとなりましたが、そのオリジナルはフランスのシャンソン歌手の巨匠シャルル・アズナブールによるもの、コステロ版はかなりオリジナルに忠実ですが、やはりこの曲は叙情的に歌うのが正解ですね。
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(つづく)
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Our Covers #020 野田晋平