
ギターとカヴァーの美味しい関係。ギターにピントを合わせれば、あの曲もこの曲も味わいがガラリと変わる。ギタリストのワダマコトがカリプソ愛を香辛料にして熱く調理します。
ワダマコト
Ep.33 / 24 Jul. 2024
邦題が『やさしき伴侶を』とつけられたガーシュイン作のジャズ・スタンダード「Someone To Watch Over Me」のメロディがやたらと頭を巡ったので、すてきなカヴァーがないものかと探してみた。普通にジャズでは多く演奏される曲だが、ここはやはりひとひねり、カリブ的な解釈のが聴きたいところ。
ヴィブラフォン奏者、ピート・テラスのクィンテットによる55年録音。ジョー・ロコがピアノでエレガントで涼し気。夏向きの名演だと思う。
歌入りだと、フランク・シナトラやエラ・フィッツジェラルドのヴァージョンが有名だが、カリブでも歌ってるのありました。
バハマのリトルGによる『Bahama Bash』というアルバムに収録されたイナタめのチャチャチャ風。
ボーダーのTシャツにマラカス、そしてビーチサンダル。このラフないで立ちがバハマの音を象徴しているかのようだ。
このリトルGだが、のちのハロルド・マクネア。英国で活躍したサックス / フルートの名手である。1931年ジャマイカ生まれ。バハマに渡りカリプソ~ラテン・ビッグバンド、フレディ・マニング楽団に参加して名演を残したあと渡英。ちなみにフレディ・マニングといえば、「Funky Nassau」でお馴染みのビギニング・オブ・ジ・エンドのマニング兄弟の父であり、バハマ大衆音楽のゴッドファーザーのような存在だ。
猛烈に洗練されたジャズ・フルートを聴かせているマクネアの出自に、バハマやジャマイカといったキーワードが出てくると、なんだか一気に親近感が沸いてくる。例えば、モンティ・アレキサンダーのような。モロにジャズ・ピアノ最高峰でありながら、「おれたちのモンティ」でもある、あの感じだ。
そして、さらに「おれたちの」感を増す一曲がある。もちろん、バハマ時代リトルG名義だ。
一聴してわかるギターは、アーネスト・ラングリン。ラングリンはこれ以外にも、フレディ・マニング楽団、アンドレ・トゥーサン、以前にこのコーナーでも取り上げたテディ・グレイヴスなどなど、バハマのカリプソものにこっそり参加しているものが結構あるのだ。
そんなこんな。カリブのなかでのミュージシャンの行ったり来たりを確認すれば、なるほどと腑に落ちる音が沢山あるのだ。
(つづく)
- Profile
- カリプソ狂。結成20年を迎えるライヴバンド、カセットコンロスを率いるギタリスト / シンガー。ソロ活動ではWADA MAMBO名義でもアルバムをリリース。ブルース~ジャンプ&ジャイヴ経由カリプソ。BLUES & SOUL誌の連載ほか、音楽についての執筆業も。妻x1、クロネコx1、シロネコx2、と共に暮らしています。
音楽活動のない日は、東横線の綱島駅と大倉山駅が最寄りの、音楽と雑貨の店ピカントにいます。
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