魅惑のオンラインショップ《パライソレコード》がお贈りする、カヴァーソング桃源の世界。
野田晋平(パライソレコード)
Ep.33 / 22 Nov. 2022
10年前は見向きもされなかった90’sサウンドがまた盛り上がっている?? というわけで今回は90年代(主に前半)に生まれたカヴァーソングが集合(オルタナ多め)。個人的には青春のサウンドです。
「Smells Like Teen Spirits」の世界的ヒットにより90’sグランジ〜オルタナシーンの伝説となったカート・コバーン率いるニルヴァーナのデビュー曲となる1988年のシングルは「ヴィーナス」で有名なオランダのバンド、ショッキング・ブルー1969年作のカヴァー。のちに数々のカヴァー曲を録音する彼らを象徴するような1曲。エキゾなベースフレーズが印象的!
Search and Destroy
「Under The Bridge」などのヒットで一躍スターダムに、今もなお世界を代表するバンドとして活動するレッド・ホット・チリ・ペッパーズによる1991年イギー・ポップ率いるストゥージーズのガレージクラシックのカヴァー。前のめりなこのアグレッシヴさ。初期レッチリのイメージにドンピシャな真っ向勝負の1曲です。
Sexual Healing
名曲「Runaway Train」でグラミーも獲得したソウル・アサイラムがオルタナ時代の名コンピ『No Alternative』で披露したマーヴィン・ゲイ「Sexual Healing」のカヴァー。この枯れたヴォーカルを聴くだけで哀愁漂いますな。このアルバム。シークレットトラックにニルヴァーナが収録されていることでも有名!?
People Everyday
ギャングスタ系ヒップホップが猛威を奮うなか、ポジティヴかつバック・トゥ・ジ・アースなメッセージでポップスシーンに躍り出たアレステッド・デベロップメントのシングル曲にもなった1992年作はスライ&ザ・ファミリー・ストーン「Everyday People」のフレーズを使用。厳密に言えばオマージュ曲となるかもですが、この曲がなかったら存在しなかったということで、カヴァー曲ということで!?
Aguas De Março
ニューヨークを拠点に活動した本田ゆかと羽鳥美保のユニット、チボ・マットによるジョビン作のボサノヴァ曲「Aguas De Março(3月の雨)」のカヴァー。90年代に訪れるブラジル音楽再評価に先駆けるように、彼女たちの主戦場であるエクスペリメンタルポップではなくシンプルなアコースティックサウンドでカヴァーした隠れた名曲。ファースト『Viva! La Woman』日本盤のボーナストラックに収録。
Wonderwall
ビースティ・ボーイズが全編ハードコアで録音した1995年のミニアルバム『Aglio E Olio』を提げ「Quasar」の名で来日した際に披露したオアシス「Wonderwall」のカヴァー。ブリットポップが猛威を振るっている最中のちょっとおちょくったような脱力アレンジが痛快。アルバムには未収!
Superstar
のちのトリビュートアルバムブームの一端を担ったかもしれない1994年のカーペンターズトリビュートアルバム『If I Were a Carpenter』はオルタナ勢も数多く参加。レッド・クロスや少年ナイフなどがヒットを飛ばしましたが、オルタナ真打ちソニック・ユースによる「Superstar」のカヴァーはカーペンターズには珍しい暗めの曲をさらにダークかつダウナーにアレンジした名曲中の名曲。ひたすら小さく鳴り響くギターノイズがたまりません!
Oh Bondage Up Yours!
ソニック・ユースのキム・ゴードン、プッシー・ガロアのジュリィ・カフリッツのツインギターヴォーカルからなるフリー・キトゥン(のちにボアダムスのヨシミ、ペイヴメントのマークなども参加)によるパンククラシック「Oh Bondage Up Yours!」のカヴァー。キム至宝のヘタウマヴォーカルが軽く本家越え。このゴッド感さすがです!
(つづく)
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Our Covers #020 野田晋平