魅惑のオンラインショップ《パライソレコード》がお贈りする、カヴァーソング桃源の世界。
野田晋平(パライソレコード)
Ep.30 / 11 Aug. 2022
そうめんに冷やし中華、かき氷…夏季限定の「はじめました」にあやかり、今回は納涼アレンジということで、原曲が元々夏ソングなものから大胆な夏化を図ったものまでカヴァー曲大集合はじめました。もはや焼け石に水!? 的な猛暑が続きますが、なんとか乗り切りましょう!
1949年にブロードウェイで初演され、のちに映画化にもなった『南太平洋』はエキゾ名曲として数々の音楽家によりカヴァーされる「Bali Ha’i」を生んだことでも知られますが、こちらはニューウェイヴ〜ポストパンク期の1982年にリリースされたディスコネクションによるヴァージョン。ベースラインを強調したディスコパンククラシック。ポップ・グループ一派がリリースする《Y Rrecords》からのあまりにもらしい1枚!
Yellow Magic Carnival
米国音楽の深淵を支え続ける音楽家ヴァン・ダイク・パークスはソロ作はもちろん、カリプソキング、マイティー・スパロウやエッソ・トリニダード・スティール・バンドのプロデュースも務めるなど、その目と耳をカリブ海へも向けたことで知られていますが、細野晴臣のトリビュートアルバムに残したティン・パン・アレー「イエロー・マジック・カーニバル」はまさにそんなヴァン・ダイク節が全開となった素晴らしいカヴァー。楽園音楽ですな!
Wait Until Tomorrow
カエターノ・ヴェローゾ&ジルベルト・ジルというブラジルMPBの盟友がタッグを組んだ1993年のアルバムから、ジミ・ヘンドリクス『Axis: Bold As Love』に収録の「Wait Until Tomorrow」のカヴァー。ブルージーな原曲に対し大所帯のブラジリアンパーカッションを率いたサンバアレンジで夏仕様に!
You’re Young
桑名正博の妹、桑名晴子1978年のアルバムはデビュー作にして海外録音というレーベルからの期待度がうかがえる豪華さ。ビル・ペイン他リトル・フィート系の面子が集ったB面に対しA面はハワイのバンド、カラパナに在籍したマッキー・フェアリーが完全バックアップ。ロコAORの最高峰ソロ作『Macky Feary Band』に収録の名曲「You’re Young」をカヴァーしています。さすが本家を後ろ盾にしたナイトメロウなアレンジ。エレピがとろけます…
Good Vibrations
ポップ狂人トッド・ラングレン1976年のシングル。アルバム『Faithful』にも収録されたご存知ビーチ・ボーイズの怪作「Good Vibrations」のカヴァー。あの幾重にも重なるハーモニーを伝家の宝刀〈多重録音〉やってのけたカヴァーというかもはや贋作的意図も感じてしまうほどのクオリティ。ラジオ局がリスナーにどっちがオリジナルか聴き分けさせるコンテストをやったなんて逸話もあるほど!?
スウィート・メモリーズ
ビーチ・ボーイズのようなコーラスアレンジを得意とする日本のアーティストといえば山下達郎がまず頭に浮かびますね。アカペラ作『オン・ザ・ストリート・コーナー』のシリーズでは一線を超えちゃったくらいの至宝の多重コーラスを魅せてくれますが、スターダスト・レビュー1986年のアカペラアルバム『チャーミング』だって忘れちゃいけない。スタンダードジャズや坂本九「上を向いて歩こう」などカヴァー曲がずらりと並ぶ内容ですが、松田聖子の「スウィート・メモリーズ」がこれまた絶品。この清涼コーラスで気分は一気に夏!
Summer Breeze
テキサス出身の男性ヴォーカルデュオ、シールズ&クロフツによるヒット曲「想い出のサマーブリーズ」はアイズレー・ブラザーズによってもカヴァーされ、70’sソウルクラシックにもなりましたが、こちらは香港で活動したシンガー、グレイシー・リベラによる女性ヴォーカルバージョン。ワウギター&澄んだヴォーカルで夏を想う!
(つづく)
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Our Covers #020 野田晋平