魅惑のオンラインショップ《パライソレコード》がお贈りする、カヴァーソング桃源の世界。
野田晋平(パライソレコード)
Ep.38 / 31 May. 2023
コロナ禍もようやく終焉の兆しをみせ、街には海外からの旅行者の姿も見られ、元の景色に戻りつつあります。というわけで今回は「世界の国からこんにちは」。いわゆるレコード屋における〈ワールドミュージック〉のコーナーに置かれそうなアーティストたちによるカヴァー曲特集。各国ご当地独特のオリジナリティー&あるいはボーダレスなアレンジによる名曲の数々でお楽しみください!
スカ〜ロックステディー、レゲエはじめカリブの島国から世界へと音楽の影響を広げたジャマイカの英雄、ジミー・クリフによる英国パンクの雄クラッシュの名盤『ロンドン・コーリング』に収録の「Guns Of Brixton」のカヴァー。クラッシュのベーシスト、ポール・シムノンがジミー・クリフ主演の映画『ハーダー・ゼイ・カム』にインスパイアを受け書いた名曲をジミーが歌うというのは、ある意味先祖返りな胸アツ展開ですね。歌詞に出てくる「Ivan」はジミー・クリフが演じた主人公の名前。
Tighten Up
その登場から全世界で様々なアレンジのカヴァーを生み続けるアーチー・ベル&ザ・ドレルズのソウルクラシック「Tighten Up」をさらにアッパーなキューバンサウンドへと昇華させたアル・エスコバルによる1967年の名門《Tico》産キラーブガルーチューン。陽気な抜け感が最高ですな!
Born Under Punches (The Heat Goes On)
グラミー賞にも度々ノミネートされるアフリカベナン共和国出身のシンガー、アンジェリーク・キジョーがトーキング・ヘッズ1980年の名盤『Remain in Light』をまんまアルバムごとカヴァーしたという2018年の衝撃作よりオープニングを飾る「Born Under Punches」。アフリカンミュージックに多大なる影響を受けた『Remain in Light』に対する本場からの返答ともいうべき強烈なグルーヴ。こっちが本家?? と錯覚に陥ります。
Just a Gigolo (I Ain’t Got Nobody)
アキ・カウリマスキ監督映画に出演しその強烈なヴィジュアルで一躍有名になったレニングラード・カウボーイズ。レニングラードなのでソ連のバンドと思いきや実はフィンランドのスリーピー・スリーパーズというバンドが母体となってますが… 重厚なコーラスを軸にした共産圏ロックによるポップスカヴァーは異国情緒感満点ですね。ルイ・プリマでおなじみ「Just a Gigolo」も軍歌のようなアレンジに!?
バナナ・ボート
先日惜しくも他界したハリー・ベラフォンテは「バナナ・ボート」などのヒットによりカリプソを世に広め、様々な社会活動への参加、そして「We Are the World」で知られるUSAフォー・アフリカの提唱者と数々の偉業を成し遂げてきたアーティスト。そんなベラフォンテのヒットを受け〈カリプソの娘〉として1957年にデビューした浜村美智子による「バナナ・ボート」。日本語詞と彼女の妖艶な顔立ちがエキゾチック度を増した名曲です!
邊位算系性感
サミュエル・ホイなどと並ぶ香港出身の歌手俳優、林子祥ことジョージ・ラムによるロッドスチュワートのディスコヒット「Da Ya Think I’m Sexy?」の広東語カヴァー!? ここ日本はじめ全世界で様々にアレンジされるこの曲ですが、母国語で歌われるヴァージョンはやはりいいですね。アルバムでは様々なディスコヒットを広東語でご機嫌にカヴァーしてくれてます!
Asadoya Yunta
現代音楽~クラシックをベースに様々な音楽との融合を重ね続けた坂本龍一がワールドミュージックへと接近した1989年のアルバム『Beauty』より沖縄民謡「安里屋ユンタ」のカヴァー。教授自身も歌い、アート・リンゼイやセネガルの英雄ユッスー・ンドゥールも参加したまさにボーダレスサウンドな名曲です!
Baby
60年代ブラジルトロピカリアムーヴメントの中核として数々の名盤名演を残してきたバンド、ムタンチスによるガル・コスタなども取り上げたカエターノ・ヴェローゾ作の名曲「Baby」のカヴァー。ファーストにもサイケデリックなアレンジによるヴァージョンが収録されていますが、1971年作『Jardim Elétrico』ではサンバ~ボサノヴァなアコースティックサウンドで再演。先日他界したヒタ・リーによるヴォーカルが素晴らしすぎます!
(つづく)
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- 魅惑のオンラインショップ《パライソレコード》主宰。世界中の魅惑サウンドを探し求め、中古レコードをメインに(ほぼ)毎日新入荷を更新中。
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Our Covers #020 野田晋平