細野晴臣の長い活動の中でもとりわけエキゾチック度の高かった「トロピカル3部作」と呼ばれる75~78年の３作品は世界のあらゆるサウンドをミクスチャーしたどこにもない万国音楽博覧会ですが、カヴァーも数曲あります。「泰安洋行」収録の「香港ブルース」はジョージ・ハリソンみたいな大物も取り上げた戦前のジャズシンガー、ホーギー・カーマイケルの名曲。ここではまるでモノマネのような鼻声で憧れのカーマイケルになりきってます。
https://www.youtube.com/watch?v=tT1CYQAiCrk

ローリング・ストーンズ「ロックンロール・サーカス」にも出演したブルーズマン、タジ・マハールはブルーズだけにとどまらずあらゆるルーツミュージックをボーダレス化するミックス感覚で「黒いライ・クーダー」なんて言われる人ですが、その真骨頂と言える77年作ではフォークシンガー、エリザベス・コットンの名曲「freight train」を最高のトロピカルサウンドに仕上げています。スティールパンも気持いい！
https://www.youtube.com/watch?v=lPo-7bzU3wM

アメリカンルーツミュージックの第一人者ジェフ・マルダーと「真夜中のオアシス」のヒットで知られるマリア・マルダーの夫妻が68年にリリースしたアルバムから誰もが聴いたことがあるスタンダード「brazil」のカヴァー。ギターと口笛のイントロだけでもう気持ちは南の国ブラジルへ。壮大なエンディングまでひたすら空に浮いているようなこの感覚。他では味わえませんよ！
https://www.youtube.com/watch?v=urN7Pdzw5Cs

「テクノ界の奇才」と呼ばれるドイツ出身の電子音楽家アトム・ハートことウーヴェ・シュミットによるエキゾラテンプロジェクト。マイケル・ジャクソンからYMOまでなんでも電子ラテン化しちゃう人ですが、これは電子音楽の巨匠クラフトワークの楽曲を丸々取りあげたアルバム。名曲「アウトバーン」だってクンビアになっちゃう！？
https://www.youtube.com/watch?v=x9XslI1272I

ボックス・トップス〜ビッグ・スターなどのオレ流ロックンロール道でのちのオルタナシーンのカルトヒーローとなったアレックス・チルトン87年のソロアルバムから、誰もが聴いたことのある「Volare」のカヴァー。スウィングするビートの上をパンクなギターとヘロヘロのヴォーカルで台無しにしちゃうんですが、それがまたカッコイイ。マネしようと思ってもできない天然モノです！
https://www.youtube.com/watch?v=AxKey90olfI

スーサイドのアラン・ヴェガとも親交のあるアコーディオン弾き語り女史エンジェル・コーパス・クリスティがニューヨークにまつわる曲を取り上げたカヴァーアルバム。ヴェルベット・アンダーグラウンドにパティ・スミスから映画「タクシードライバー」まで。なかでもNYパンククラシック、リチャード・ヘル＆ザ・ヴォイドイズ「Blank Generation」では最高に崩れたアレンジでシビれさせてくれます。ちなみに「Blank Generation」自体もボブ・マクファーデン「Beat Generation」の歌詞を変更したパロディカヴァー。
https://www.youtube.com/watch?v=cbq0KS9PuiA

フランスのアヴァン〜トイポップ巨匠パスカル・コムラードがカンタベリーロックの雄ロバート・ワイアットを迎え録音したクルト・ワイルのスタンダード「September Song」のカヴァー。トイピアノなどを使ったファニーなサウンドに魅惑のヴォーカルが染み渡る素晴らしいアレンジです。
https://www.youtube.com/watch?v=mJvR6pXeNi8

ビースティボーイズが発行していた「グランドロイヤルマガジン」のリー・ペリーが表紙の回の付録に付いていたソノシート音源。ご存知エルトン・ジョンでおなじみの曲なんですが、ビズ・マーキーみたいな愛すべきキャラが歌うともう最高しかないですね。ビースティボーイズによる？ジャズファンクサウンドもクール！
https://www.youtube.com/watch?v=G9IiHyh6nxs

「VOGUE」などのファッション誌で活動したイギリス出身の写真家にしてギタリスト、スティーヴ・ハイエットがムーンライダーズらのメンバーとともに日本で録音した魅惑の1983年盤からサント＆ジョニー「Sleep Walk」のカヴァーを。蜃気楼のように揺らめくギターの残響がまるで麻薬のように効いてきます。この独特の密室感、一体なんなんだ！
https://www.youtube.com/watch?v=8jaZcF1iQpc

かつては「Yesterday Once More」の衝撃カヴァーなんかで邪道音楽界のカルトグループとなったシャッグス３姉妹。そんな伝説の次女が約40年の歳月を経てソロアルバムを出したっつーニュースにはおったまげたが、音聴いたらさらにぶったまげた！？全然変わってないやん…　そんなわけでこのアルバムでも懲りずにスキーター・デイヴィスのオールディーズヒット「End Of The World」をカヴァー。その名の通り「世界の終わり」な仕上がりです笑
https://www.youtube.com/watch?v=22aq7-9uS8Q