魅惑のオンラインショップ《パライソレコード》がお贈りする、カヴァーソング桃源の世界。
野田晋平(パライソレコード)
Ep.12 / 1 Feb. 2021
レアグルーヴはじめクラブ的視点で踊れる曲をキラーチューンなんて言いますが、そんな発掘作業の中で出土するカヴァー曲はこのシーンの一つの醍醐味であります。「福は内、鬼は外」な2月ですが、こんな鬼キラーなカヴァーなら大歓迎ということでダンスフロアを彩った原曲越えのカヴァー特集。あ~早く爆音を浴びて踊りたい!
名ソングライターチーム、アシュフォード&シンプソン作の1967年ザ・メッセンジャーへの提供曲、その後フィフス・ディメンションなどによりヒットする「Califolnia Soul」をジャズソウルシンガー、マリーナ・ショーがカヴァー。ビートメイカーはどうしても避けて通れないドスの効いたビートに重量級のヴォーカル。参りました!
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Loveland
チャールズ・ライトによるレイドバック感覚もあるソウルクラシック「Loveland」を強烈なドラムブレイクでアレンジしたスパンキー・ウィルソン1975年のアルバム収録曲。イントロを聴くたび、かつて体験したフロアがわ~と爆発したあの光景がフラッシュバックします。他のアルバムでクリームの「Sunshine Of Your Love」もカヴァーしてますが、そっちもすんごい!
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Give Me Your Love
レアグルーヴにおいてお宝盤名高いシスターズ・ラヴの「Give Me Your Love」はカーティス・メイフィールドによる1972年のブラックムーヴィー名作「Superfly」にも収録された名曲。至宝のファルセットヴォイスで魅せる本家に対しこちらは女性4人による重厚感あるヴォーカルでアレンジ!
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Moondance
名ジャズドラマー、グラディ・テイト1974年のアルバムよりヴァン・モリソン「Moondance」のカヴァーを。ブルー・アイド・ソウルなヴァン・モリソンの中でもジャズ的なアプローチをみせる名曲ですが、こちらのヴァージョンはより奥行きのある立体的サウンドへ。グラディのヴォーカルがこれまた良い!
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Esso Beso
モッドを地でいく男ジョージィ・フェイム1964年リリースのライヴ盤よりポール・アンカのオールディーズヒット「Esso Beso」カヴァー。当時はこの「Esso Beso」のカヴァーを探すというのがDJ達のひとつのトレンドとしてあったかのように記憶しますが、やはりこれに勝るもんはないでしょう。まさにヒップかつグルーヴィーのお手本のようなアレンジ。のちのアーティスト達がこのヴァージョンを雛形にしてカヴァーに挑みますが、いまだ超えるものはなし!
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Sparkle
安レコードの定番だった山下達郎がシティポップや海外での人気によりあんなに高騰するだなんて思ってもみませんでしたが、そんなブームよりはるか昔、海の向こうハワイ育ちの日系ミュージシャン、ロビン木村率いるグリーンウッドがリアルタイムで反応した「Sparkle」のカヴァー。あのギターカッティングはそのままにロコAOR〜ウエストコーストな開放感を増した素晴らしいアレンジ!
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Here Today
山下達郎と同じくフィル・スペクターに魅せられたビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソン。「Surfin’ USA」などのヒットにより一躍有名になった彼はライブ活動から一線を引き、かつての海、車、ボーイミーツガールな世界というビーチボーイズのイメージとは違った憂の世界をスペクターのウォール・オブ・サウンドを下地に再現しようと試みます。その集大成が音楽史における最高傑作名高い1966年の「Pet Sounds」。当時はその音楽性が理解されずセールスも散々でしたが、英国のバンド、ロブ・ストーム・グループはリアルタイムで反応し「Pet Sounds」の終盤を飾る名曲「Here Today」をカヴァーしています。荒々しさはあるものの原曲のウォール・オブ・サウンドを見事再現。とにかくすんごい音圧です!
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(つづく)
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Our Covers #020 野田晋平