GUITAR GRILL<br>“音楽の空想旅行”
feature #149

GUITAR GRILL
“音楽の空想旅行”

ギターとカヴァーの美味しい関係。ギターにピントを合わせれば、あの曲もこの曲も味わいがガラリと変わる。ギタリストのワダマコトがカリプソ愛を香辛料にして熱く調理します。

ワダマコト
Ep.25 / 7 Aug. 2023

←Ep.24

今回はいつもとはちょっと違うアプローチ。一枚のレコードから連想ゲームのようにして、様々な国の音楽を巡る旅に出てみては如何? というお誘いです。

キューバの名門楽団、オルケスタ・アラゴンの『Mosaicos Tropicales』というLP盤を聴いていたら、聴き馴染みあるメロディが聞こえてきた。「これ何だっけ?」と調べ始めたのが、今回の音楽の空想旅行のはじまり。

Orquesta Aragón「Quiéreme Sempre」
Eydie Gorme「Love Me Forever」

「Quiereme Sempre」のタイトルで吹き込まれたこの曲、イーディ・ゴーメが1957年にヒットさせたアメリカン・ポップス「Love Me Forever」のカヴァーだった。スペイン語タイトルに変えられたうえに男性ヴォーカルだし、だいぶ印象が変わるけどとても興味深いアレンジだ。キューバ革命以前、キューバとアメリカの風通しが良かった頃には、こんなカヴァーも沢山あったのだろう。逆にイーディ・ゴーメによるカヴァー曲といえば、トリオ・ロス・パンチョスと共演したボレロ古典「Sabor A Mi」がロマンチックで良いのでおすすめ。

Eydie Gorme & Trio Los Panchos「Sabor a Mi」

オルケスタ・アラゴンに話を戻そう。まずは名曲。

Orquesta Aragón「Tremendo Punto」

これが、アフリカはコンゴ(当時はザイール)に渡るとこうなる。

African Fiesta「Tremendo Punto」

リンガラ・ミュージックの元となった、いわゆるルンバ・コンゴレースと呼ばれる60年代のサウンド。ピアノもストリングスも入らず、エレキ・ギターでよってたかって何とかするアフリカ流儀な感じがたまらない。足りないって素晴らしいのだ。後半にコーラスの後ろで解き放たれるギターの弾きっぷりは、まるでキューバのトレス奏者、アルセニオ・ロドリゲスのような自由奔放さ。アルセニオのトレス奏法にアフリカのギタリストたちが夢中になっていたことは間違いないのだ。
そんなアルセニオも晩年にアフリカ回帰のようなイメージの録音を残していて、これらの音もとても興味深い。アフリカから連れてこられた人々がキューバでルンバのリズム・アンサンブルを生み出し、それが再びアフリカへもたらされた。そんな道程をアルセニオは自ら辿ってみせたのだろうか。などと思いめぐらしたり。

「Tremendo punto」と同じくドクチュール・ニコが率いたアフリカン・フィエスタからもう一曲。

African Fiesta Orchestra「Vita Matata」

この曲の下敷きとなったのが「Trompetas en Cha Cha Cha」という曲。キューバのヴァイオリン奏者でチャランガ楽団を率いたエンリケ・ホリンの作だ。

Enrique Jorrin「Trompetas en Cha Cha Chá」

ルンバ・コンゴレースの楽団たちは、こうしたキューバのダンス・ナンバーをレパートリーに取り入れ、それらを基盤として独自の音楽を築いていった。そんな証のひとつである。

キューバや南米とアメリカとアフリカを行ったり来たり。こんな感じで、ずっと昔から音楽はグルグルと世界中を旅して回り続けてきたのだ。

(つづく)

Profile
カリプソ狂。結成20年を迎えるライヴバンド、カセットコンロスを率いるギタリスト / シンガー。ソロ活動ではWADA MAMBO名義でもアルバムをリリース。ブルース~ジャンプ&ジャイヴ経由カリプソ。BLUES & SOUL誌の連載ほか、音楽についての執筆業も。妻x1、クロネコx1、シロネコx2、と共に暮らしています。
音楽活動のない日は、東横線の綱島駅と大倉山駅が最寄りの、音楽と雑貨の店ピカントにいます。
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