魅惑のオンラインショップ《パライソレコード》がお贈りする、カヴァーソング桃源の世界。
野田晋平(パライソレコード)
Ep.46 / 4 Apr. 2024
春といえば「パンまつり」。というわけで、カリブ海最南端の島国トリニダード・トバゴ共和国で発明されたドラム缶から作られた打楽器「スティールパン」でアレンジされたカヴァー曲(黒いお皿)が集合。春の陽気とともにお祭りだ!
エッソ石油のドラム缶を使っていたら、スポンサーについてくれた!? なんて逸話もあるトリニダードのスティールバンド、その名もエッソ・トリニダッド・スティール・バンド1971年のアルバムよりジャクソン5「I Want You Back」。レアグルーヴ期にも注目された最高のカリビアングルーヴ。カリブ嗜好の高かったアメリカの音楽家ヴァン・ダイク・パークスプロデュースによるアメリカナイズに洗練されたカヴァーです。エッソのドラム缶は鳴りがいいらしい!
The Four Mills Brothers
ローリング・ストーンズ「ロックンロール・サーカス」でも脂ギッシュなパフォーマンスで魅せてくれたタジ・マハールは初期のブルーズ~ルーツロックなサウンドから次第に南下。カリビアンテイストを盛り込んだボーダレスサウンドを展開していきます。そんなタジの最高傑作とも言えるのが1977年の『Music Fuh Ya』。ここではヴァン・ダイク・パークスもカヴァーしたカリプソの名曲「The Four Mills Brothers」を最高のパンアレンジでカヴァーしてくれています。ヴァン・ダイク・パークスなどこの時期の数多くの録音で叩いたロバート・グリーニッジの職人技!
Fresh and Clean
UKダブの最重要人物マッド・プロフェッサーが初期《ARIWA》に残した1985年の極上カリビアンアルバムより、UKラヴァーズの名曲サンドラ・クロス「Country Living」を解体&再構築&スティールパンで味付けした「Fresh and Clean」。スティールパン&ダブの2大気持ちエエサウンドの掛け合わせでもう極楽。極楽。。。
The Model
ロンドンを拠点に1960年代より活動するエボニー・スティール・バンド2019年のアルバム。ジャケを見てピンときたアナタは大正解。こちらは電子音楽の巨匠クラフトワークの楽曲を全てスティールパンアレンジしたという珍味モノ。あの生真面目な電子ビートがなんとも風通しの良いパンサウンドに変わり一気に南国へ連れて行ってくれる快盤。「The Model」の気持ちよさで人間解放!?
Big Yellow Taxi
ジャマイカ生まれの鍵盤奏者モンティ・アレクサンダーは風通しの良いピアノジャズ作品を数多くリリースしていますが、時折その出所がわかるカリビアン色を際立たせたパンアレンジ曲を入れ込んできます。そんなモンティの1988年、アイボリー&スティール名義のアルバムからジョニ・ミッチェルの「Big Yellow Taxi」のカヴァー。トリニダード出身のパン奏者レノックス・シャープをフィーチャー!
Nuthin’ but a ‘G’ Thang
ジェイZ、スラム・ヴィレッジ、グレイス・ジョーンズなどヒップホップ~ソウル&ディスコ系のクラシックをパンカヴァーしまくるドイツの現行ファンクグループ、マイティ・モカンボスのビョルン・ワグナー率いるバカオ・リズム&スティール・バンドによるヒップホップ大クラシックDr.ドレー「Nuthin’ but a G Thang」の最高カヴァー。クアンティックもカヴァーするなどGファンクのレイドバックと南国系は相性よし?? ボビー・オロザはじめチカーノ~ヴィンテージソウルリヴァイバルを牽引する《Big Crown》レコードから!
(つづく)
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Our Covers #020 野田晋平