
冷めても熱いカヴァーの名品について。
武田洋 (eyeshadow)
Ep.3 / 15 Oct. 2021
The British with Trevor Lang『Rockpourri』(Jayvee Records) LP

1976年リリースの謎が多いカヴァーアルバム。
聴きどころはギルバート・オサリバン「Alone Again (Naturally)」で、数多ある同曲カヴァーの中でもこれが一際存在感を放っているのは、なんといってもバンジョーの音色です。
カントリーやブルーグラスでおなじみの楽器がポップミュージックで使われるとちょっとした違和感やコメディのような雰囲気を感じてしまいますが、それがひっくり返って粋に聴こえるのはアレンジが良いからでしょう。後半、オルガンが旋律を奏でているところに再びバンジョーが戻ってきてメロディを奪い取っていくところも最高です。
他にもスティーヴィー・ワンダーやサイモン&ガーファンクルの楽曲もあって、これらもまた一筋縄ではいかない、センスのあるアレンジを施した曲ばかりです。
そんな「Alone Again」「You Are the Sunshine of My Life」「The Sounds of Silence」など、わかりやすいカヴァー曲が入っている反面、このアルバムについては実にわからないことばかり。
リリースはカリフォルニアの《Jayvee Records》なるレーベルで、Discogsをチェックしてみると、発売したのはこれ1枚のみの模様です。
アーティスト名のThe British with Trevor Langについても調べてみましたが、なにも出てきません。詳細はまったくもって不明です。
全17曲のうち10曲が作曲・編曲家、ハワード・ルクラフトのカヴァーらしいのですが、ハワード・ルクラフトという人物は50年代のジャズ界に実在したものの、ここに収録されている10曲が本当に彼の作曲のものかどうかは確認できませんでした。なんとなく聴いたことがあるような曲ばかりなのですが、どうもぼんやりしています。
1916年にロンドンで生まれ、2011年にカリフォルニアで死去したハワード・ルクラフトのカヴァーを多数収録した、The Britishというアーティストがカリフォルニアのレーベルに残した作品集。
ロンドン(英国)繋がり、カリフォルニア繋がり…この辺に謎を解く手がかりが隠されているのかもしれません。
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Yo. Shinoyama

内田大樹

Iñigo Pastor
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