
冷めても熱いカヴァーの名品について。
武田洋 (eyeshadow)
Ep.7 / 15 Feb. 2022
The Cats – Swan Lake (Ariola)

先日読み終えた『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』鈴木忠平(文藝春秋)の中にこんな一文がありました。
「世の中の人たちが言うオレ流って、自分に言わせれば、堂々たる模倣なんだと思う」。
確かにすべてのオリジナルは真似から始まると言いますが、まさか落合まで模倣から出発していたとは。あの独特な神主打法にも元ネタがあって、オリジナルはロッテオリオンズ時代の先輩である土肥健二だったとのこと。全然知りませんでした。
真似はすれど超えてくる。そんな堂々たるオレ流の模倣といえば、思い出すのはロンドンのスカバンド、ザ・キャッツが1968年に放った「Swan Lake」。世界中の誰もが知るド定番、チャイコフスキー「白鳥の湖」のカヴァーです。
ピアノを支える輪郭のくっきりしたドラム&ベースと、ザクザク切り刻むギターカッティング。途中から加わるフルートのソロがまた滋味あふれて申し分なし。
麗しいメロディにルーディな味つけは、とても借りものの曲とは思えない堂々たる完成度。このイナタさこそUK初期レゲエの醍醐味、これぞ大いなる模倣です。
この曲は69年初めのUKシングルチャートで48位になって、後にはマッドネスがデビューアルバム『One Step Beyond…』でカヴァー。
ザ・キャッツのヴァージョンに比べるとかなりポップな仕上がりです。
ザ・キャッツは残念ながら他に目立ったヒットは残せず、この曲のみで語り継がれる存在となりましたが、メンバーにはUKラヴァーズロックの影の立役者であるジョン・カパイがいたことでも知られています。
彼はソロアルバム『Red、Gold、Blues』を1枚残すのみのギタリストですが、80年代にデニス・ボーヴェルと一緒に仕事をしたり、様々なUKレゲエの名曲に参加していてたりと、実に掘りがいのある縁の下の力持ち的な実力派アーティストです。
ピーチズ&ハーブ79年のビッグヒット「Reunited」をカヴァーしたこの曲なんて最高。
ジョン・カパイを中日ドラゴンズで例えると、裏方で支える存在として現場の落合と信頼関係を結んだフロントの井手峻、いや職人気質の荒木雅博内野手みたいな存在かもしれないな…なんて『嫌われた監督』の余韻でつらつらと考えてしまいました。
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