MC / トラックメイカー / DJ / プロデューサーのMACKA-CHIN。ニトロ・マイクロフォン・アンダーグラウンド所属でありながらヒップホップ以外にも触手を伸ばし、音楽センスとレコード・コレクションは拡がり続ける一方。どんなカヴァー曲を持っているのか興味津々で始まったOur Covers番外編インタビュー。
Special Thanks: Yas Sato
1 MAR 2020
MACKA-CHIN (以下M): まずはこれから。プレイヤーズ・アソシエーションの「Footsteps」。アイズレー・ブラザーズの「Footsteps in The Dark」のカヴァーです。
eyeshadow (以下E): お、インストですね。
M: そうなんです。フルートがいいんですよね。1977年。サンプリング世代なんで、アイス・キューブが「It Was A Good Day」でこの曲を使ったじゃないですか。そこでアイズレーを知って、そこからまたアイズレーのカヴァーを好きになって。DJで朝方にかけますね。
Footsteps in The Dark
M: これも同じ「Footsteps」で、インストが入ってるんですよね。以前はアルバムもかけてたんですけど、シングルでインストをよくかけます。
E: サックスがいいですね。
M: いいでしょー。エロいの好きなんですよね(笑)。ボーカルの方はリリックまでフル・コピーしてて、これはもうクラブ映え。ロナルド・アイズレーの嫁だったアンジェラ・ウィンブッシュがプロデュースした3人組で、ロナルドもコ・プロデュースで入ってるけど、基本的にプロデュースとアレンジは嫁がやってます。元々アルバムでこの曲はかけてたんですけど、12インチが出てるの知らなくて。
E: これもDJでかけるなら明け方?
M: 明け方ですね。低音出てクリアで音質が良いからかけやすい。
Feel Like Making Love
E: これは誰ですか?
M: アナ・マゾッチって言って、ロバータ・フラックの「Feel Like Making Love」のカヴァー。ブラジリアン・レアグルーヴです。マゾッティじゃなくてマゾッチ。「チ」らしいですよ。イタリアっぽい名前ですよね。74年。
E: オリジナルよりいいかも。これもこの曲が目当てで?
M: そうですね。いまだにクラブでかけやすい。
E: どういう経緯でこのレコードを知りましたか?
M: MUROくんに教わって。ソウル、レアグルーヴはほとんどMUROくん経由で、Fat Beats(注1)の頃だから20年前くらいかな。こういうエロい曲を先輩達から教えてもらって。Fat Beatsで働いてたんですよ、オープニング・スタッフをやらせていただきました。
E: へぇー知らなかった。
Let’s Stay Together
M: で、これはマージ・ジョセフ。アル・グリーンの「Let’s Stay Together」のカヴァー。これもDJの時は明け方ですね。さっきの「Feel Like Making Love」にしても、この「Let’s Stay Together」も相当カヴァーされてますけど、これはブラック・ミュージック独特のしなやかなエロさがあって好き(笑)。
E: これもFat Beatsの頃に知った曲?
M: そうかも。元々はDJとかスクラッチとかクラブが好きでレコード買うようになって、それからヒップホップに出会って、みたいな感じなんですよ。クラブ・デビューの方が早かったんです。ヒップホップが好きでクラブへっていうよりは、おしゃれな人達が夜な夜な密会しているのがクラブのイメージでカッコ良かった。フライヤーとかなんにもないのに集まってる。丁度ジュリアナ東京とかが終わった頃ですね。
E: 高校生ぐらい?
M: 中3〜高校の頃に西麻布、六本木辺りのクラブに行ってました。で、高校を卒業して、大学行きたかったんで予備校に通ってたんですけど、CISCO渋谷店スタッフの山田(美花)さんにStüssyを紹介してもらったんです。あーやりたい!と思ってそのまま宇田川町の東急ハンズに履歴書を買いに行って、タイキくんに履歴書の書き方を教わって。DJ’s Choice(注2)でマキ&タイキの横で履歴書を書いてました。
E: それは貴重な体験(笑)。
M: そう、それでStüssyに履歴書を持って行って合格、じゃあすぐ働いて、みたいな。3〜4年くらいいたかな? それぐらい働いた頃に今度はFat Beatsができるって聞いて。その頃は色んなコネクションがどんどん繋がっていって、もう予備校には行かなくなっちゃってヒップホップにどっぷりでした。Stüssyはボード・カルチャーっていうか、スケボーとかサーフィンのイメージなんで、もうちょっと音楽の方に行きたいなと思って。そしたら丁度Fat Beatsの話を聞いたからそっちで働こうと。でも、明日からFat Beatsだって時に、Stüssy辞めるって伝えるのを忘れてたっていう(笑)。
E: はははは!
M: 大問題だったんですよ。「すみません、今日で辞めたいんですけど」っつって。「何言ってんのお前!?」みたいな(笑)。その時は店長みたいな感じでやらしていただいてたんですけど。
E: なのに今日で辞めるって?
M: そう。それで後釜いるんでって慌てて知り合いを紹介して。で、翌日から無事Fat Beatsで働くことになりました。
E: 面白いなあ。
Party Down
M: そろそろレゲエを。リトル・ビーヴァーの「Party Down」をやってます。結構エロいですね。これは自分的には「Party Down」って言うだけあって終わりの曲なんですけど。
E: このカヴァーもちゃんとパーティーっぽい雰囲気出してますもんね。
M: ヒップホップ畑でソウル、レアグルーヴ、ファンクとかジャズとか追いかけてきた人達はやっぱ「Party Down」はリトル・ビーヴァーのイメージが強いから、たまにこっちをかけると「こんなのあるんすか!」って食いついてくるんですよね。「Party Down」はホント好きでリトル・ビーヴァーのも必ず持ち歩いてます。
E: この曲のカヴァーがあれば買っちゃう?
M: 買っちゃいますね。実は若い女の子のプロデュースもしてるんですけど、その時もリトル・ビーヴァーを歌わせたんです、「Party Down」を。
Partty Down
E: へー、どんなアーティストなの?
M: CSRっていう水戸のキャバ嬢。
E: ははっはははは。
M: 知り合いがキャバクラで歌上手い子がいるって見つけてきたんですけど。「わたし歌上手いよ」っていうから、どんだけ上手いんだよってカラオケに連れて行ったらホントに上手かったんで。
E: CSRって名前?
M: コレステロールの略です。太ってるから。
E: コレステロール(笑)。彼女は原曲のことは知らないんですよね。
M: 全く知らないですね。で、リトル・ビーヴァーの曲を送って、英語のリリックも送って、練習しとけっつって。
E: トラックは?
M: トラックはリトル・ビーバーの7インチのB面に「Party Down – part2」っていうインストが入ってるんですよ。それをちょっときれいにアレンジして。
E: こんな太い声でキャバ嬢なんですか?
M: 分かります。おれもすげーひっかかりました(笑)。今は男が出来ちゃって、おそうじ本舗みたいな仕事に変わっちゃったんすけど。
E: おそうじ本舗(笑)。
Shaft
E: 次はバイロン・リー。
M: ダイナミックから出てるバイロン・リーは見つけたら買うようにしていて、ぼくが気づいたときにはもう中々見当たらなくなってて。あんまり売ってるところがないっていうか。この「Shaft」はちょっとナイス・カヴァーだなと。
E: がっつりレゲエにしてますもんね。
M: うん。やっぱりブラック・ムービーの流れもあって。アイザック・ヘイズもヒップホップでは色んな人にサンプリングされてるんで。これって7インチあるんですかね?
E: ありますね。
M: 今、レゲエの7インチめちゃんこ高いですよ。なんか今ね、〈レゲエ・ソウル〉みたいな何か変な言い方するんですよね。新しいジャンルみたいな呼び方をするんですよ。〈ソウル・レゲエ〉とか。それで値段がどんどん高騰してて。オリジナルの7インチとかほんと高くて。
E: このLPは安く手に入れたんですか?
M: 2〜3000円払ったかな。これはオリジナルですよね?
E: オリジナルですね。
M: 良かったー!
Ring My Bell
M: コンピなんで恥ずかしいなー。でもSoul Jazzレーベル好きで。
E: この曲は12インチが出てますよね。
M: あ、12インチあるんすか!わ、欲っしー! ラジオやってるから調べ癖が(笑)。(スマホで検索して)マジ、こんなババアなんですか!すごいブスじゃないですか!ちょっとやられた。(スマホでオリジナル12インチ見て)これですか?
E: それそれ。
M: この曲は後半のダブ・ヴァージョンがヤバすぎちゃって、DJの時は結構ど頭からぶっ込んでいきます。やっぱレゲエに関しては特にカヴァーもの、ヒップホップからの延長上にあるソウルやレアグルーヴとかの名曲のカヴァーはかけやすいってのもあるし。
E: カヴァーものはマメにチェックしてるんですか?
M: してますね、特にレゲエは。レゲエって自分のものとして吸収しちゃうじゃないですか。そこが好きで、だからカヴァーものは手を出しやすい。
この曲は、繋ぐタイミングをミスるとダブになるので長げー!ってなる(笑)。それも楽しいんですけどね。2枚組なんですけど、こっちの1枚だけいつも持ち歩いてます。
P.I.M.P.
M: ドイツのスティール・パンのバンドで、アルバムはほぼカヴァー。「Love Like This」「Scorpio」「Jungle Fever」とか。で「P.I.M.P.」っていう50セントのカヴァーがちょっと話題になって。ヒップホップをカヴァーするんだ、みたいな。ケニー・ドープが早くからかけてましたね。
アルバムにだけ「P.I.M.P.」のヴァージョンが入っててレゲエっぽい。レゲエが好きなんだろうなって。ヒップホップをこういう風にカヴァーするってあんまないんですよね。次のアルバムではドクター・ドレーのカヴァーもやってたりとか。サンプリングで作られたものを、今度は生で返してくるっていうアンサーしてる。スティール・パンは昔から好きなんですけど、レコード買ってもハズレばっかで。
E: あーわかります。
M: BPMが145とか凄すぎちゃって。クラブ・ユースなものがない。だからこういうスティール・パンのバンドでこっちに寄せてもらっちゃうと、もうすげーアガっちゃうんですよね。ましてやヒップホップをカヴァーしてくるっていうのがありそうでなかった。
E: 7インチもかけるんですか?
M: 7インチで自慢げにかけます。でもおれの周りはみんな7インチ持ってるんで、逆にアルバムでヴァージョンぶっこむ日とかもあります。
E: これは買った場所覚えてます?
M: 通販ですね、多分。大抵レコードって買ったところ覚えてるじゃないですか。これは記憶ないから多分ネットっすね…あ、値札シールに書かれた”税込み”のフォントがHMVのような気がする。
E: ははは確かに!
No No No
M: 「No No No」。ドーン・ペンのカヴァーですね。
E: これも1軍ですか?
M: はい、1軍。
E: おぉ~これはインパクトある!
M: これはまだ買えるかも。結構前なんですけど、ちょこちょこリプレスしてて。いいっすよね。ブーガルー・アサシンズ自体は知らなかったんですけど、ナイス・カヴァーって感じで。
E: 手に入れたのは何年くらい前ですか?
4年前ぐらいからかけてますね。ラテンものとか好きなんで。さっきみたいなレゲエからかけていって、ラテンにシフトチェンジする時とかに、この辺からちょっと変えていく。
次は「Bamboleo」って曲で、ジプシー・キングスの〈♪バンボ~レ~オ~〉っていう曲のカヴァー。
Bamboleo
M: ジプシー・キングスは凄い好きで、YouTubeではライブを一番観てます。マラドーナみたいなおじさん。
E: ははは。
M: このシングルは両面いい。裏は「Jovi Jova」で。これペルーのレコード屋から買って。日本はやっぱりアメリカとUK盤が中心で、フランス盤とかスペイン盤とかイタリア盤みたいなのはあんまり輸入してないっていうか、活発なレコード屋もなかったんで。フランス盤の7インチは裏面が違うとか。特にアフリカはフランス語も盛んだし、フランス盤のアフリカの音楽とか結構多くて、そういう流れで、そういえばおれ全然ジプシー・キングスの7インチ持ってないなって調べてったらどんどん脱線していって、結局、こういう奴らがこういうカヴァーしてる、みたいな。で、ペルーのレコード屋で買って。
E: 1枚だけ買ったんですか?
M: はい、送料がすごく高くって。だからネットでジプシー・キングスの7インチ出してるやつ買ってるのはおれっす(笑)。
バンボレオ
M: 与野っていうおっちゃん。自主盤なんですけど何者かは分からない。
E: これも「Bamboleo」のカヴァー。
M: 高校生ぐらいの頃からジプシー・キングス好きだったんで。「Jovi Jova」が入ってるアルバムがよく古着屋でかかってて。もう普通に曲が好きだからイエローポップとかで買ってました。これはフリオ・イグレシアスもカヴァーしてるんだけどリリックが違った。エロいんだよね、歌詞が。
E: (笑)。
ノーウーマン ノークライ
M: 次はネーネーズ。ボブ・マーリー「No Woman, No Cry」の民謡×レゲエ×カヴァー。
E: いいカヴァーですね。歌詞は沖縄方言?
M: 沖縄の言葉にアレンジしてますけど、リリックはどうなんだろう。原曲に寄せてんのかな。サビ以外は聞き取れないんですよ。これは元々レコードは出てなかったんですけど、近年の和モノブームの流れでリリースされました。ヴァイナルになったのは4年前かな。
E: これも和レゲエですか?
M: 和レゲエとみなしてますね。要はレゲエ・アーティストじゃなくてレゲエになっちゃってるものは和レゲエ。ほんとのレゲエ好きにしてみれば全然好きじゃないっていう。やっぱ和レゲエのダメなところは低音がどうしても歌謡曲なんで。
E: ドラムとベースが迫ってこないですもんね。
M: そうなんです、だから気づいたらLowのツマミが4時くらいになってて(笑)。もう無理ですっていう。
E: これ、歌詞が全く分からないですね。
M: みんなサビ待ちですよ。やっぱ和モノは歌えるのが楽しいですよね。自分のソロ・アルバムでもネーネーズの古謝美佐子さんにオーファーしたら「ヒップホップは分からないんで無理です」って断られた。そしたら近年、古謝さんに誰かがオファーしてやってんだもん(笑)。
E: 時代が早かったんですね。
田原坂
E: これは中身が想像つかないレコードですね。
M: 東京アカデミー混声合唱団って言って、誰?っていうくらい謎なんですけど(笑)、それがちょっと恐ろしいぐらいフィリー・ソウルな感じの仕上がりで。シャープから出てた、位相チェックに使うようなシリーズの企画モノで。結構調べたんですけど、このレコードにしか東京アカデミー混声合唱団の「田原坂」は入ってなくって。このジャケットで色んな種類が出てるんですよ。いっぱいあるんですけど中は全然違うんです。何種類出てるのかは分からないんですけど。
E: このジャケだからって「田原坂」が入ってるとも限らないんですね。
M: そうなんですよ。だからジャンク屋とかゴミ屋で探して、このジャケ来たー!って思っても、中見て入ってねーみたいな。
E: 原曲は聴いたことないけどこんなファンキーなはずはない(笑)。
M: はい、全然こういうドラムもこないし。ホントのおばさんが「♪あめ〜は~~~」って、全然違うんです(笑)。
会津磐梯山
M: 次もちょっと今っぽい感じで、和モノの…民謡系。長山洋子が当時ビクター少年民謡会に入ってて。
E: アイドルの前ですよね。
M: アイドルの前。これはほとんど民謡のカヴァーっていうか、全部レアグルーヴ民謡みたいな感じで子供たちが歌ってるんですけど、もうどの曲も針を落とせば手が上がっちゃう感じですね。これ1万円は超えるんですよね、激レア盤で。
E: どの曲が推しなんですか?
M: MUROくんは「金比羅船々」をかけるんすよ。おれは「ソーラン節」か「会津磐梯山」か。ほんとこれ全曲ヤバくて。この小野満が凄いんだよね。この人がアレンジで絡んじゃうと、もうほぼほぼハズレが無い。もうヤバイっしょ、首振っちゃうからね。
E: 民謡をファンキーにアレンジにするっていうのは確かに凄いですね。
M: そうなんですよ。それに加えてロリコンっていうか、このガキたちが(笑)。これ1周、2周した人じゃないとカッコ良いと思えないんじゃないですかね、分かんないけど(笑)。所詮、民謡じゃんって言う人もいるかもしんないし。っていうのも、この曲をSOUND MUSEUM VISIONとかチャラ箱でかけてダダすべりしたんすよ。
E: あははは。
M: 客が「はぁ~?」みたいになって(笑)。
E: そういう時は開き直ってるんですか。
M: 堂々とギャングのように。
E: あっはははははは。そそくさとやめた方がカッコ悪いですもんね。
M: はい、音楽は出会いだから、みたいな(笑)。
E: 民謡と同様に演歌のレコードも集めているとの事ですが、それはいつ頃からですか?
M: やっぱ和モノの流れで。結局クラブ上がりなんで、元々日本の邦楽がクラブでかかるのがご法度だった時代を経験してるんですよ。ディスコ含めて。だけど、例えばぼくらの日本語ラップとか日本語レゲエとか、あとR&Bディーヴァみたいなのが出始めて、クラブでそういうのがかかるようになって…MISIAとかUAがかかっても違和感がない時代に突入してきてる中で、その延長で和モノっていう言い方がちょっと小洒落てるけど、要は歌謡曲とか、そういったものを聴ける耳へ持ってきちゃったというか、耳がヤリマンになってきちゃって(笑)。
iTunes世代っていうのかな。iTunesで音楽を聴くようになって、もう何でも雑食になっちゃったっていうか、若い子もそうだと思うんですけど、安室も聴くし、EDMも聴くしっていう感じになってきてるし。で、その中でティン・パン・アレイとかはっぴいえんどとか、YMOしかり、たっつぁん(山下達郎)しかり、大きく売れてないけど真面目にやってたっていうか、海外のアーティストに影響を受けて、それをお金かけて本気で落とし込んでるような人は再評価されてますしね。
ただ、歌謡曲の場合はどうしてもヴォーカルがデカいんですよ。ヴォーカルを落として、ちょっとドラムとかを上げてあげれば、もう全然海外に通用するような楽曲はいっぱいあって。それらを掘り下げていって、ひとくくりで歌謡曲=和モノみたいになってるけど、そん中には和レゲエとか和ボッサとか、まぁ歌謡曲の中でもジャンルが出てくる。で、〈打ってる演歌〉っていう言い方をしてるんですけど、ちょっとドラムがはっきりしてるとか、ドラム・ブレイクで始まる北島三郎の「祭り」とか、あれも和太鼓で始まるんですよ。
E: うんうん。
M: ブレイクから始まる演歌みたいな(笑)。「打ってるねー」みたいな言い方してて。気づけばグルーヴ歌謡とか色んな言い方しながら、もう演歌も吸収してってる感じですかね。特に民謡は、民謡クルセーダーズとかが出てきてアップデートもされてるんですが、この辺になると、ちょっとどうしても音圧がもう一本足りない感じなんで、かけづらいって言えばかけづらいんですんけど。でも沖縄民謡しかり、意外とちゃんと聴けるものが多いから、聴き直すと日本人の誇りみたいな部分も出てくるし、日本語ラップに近い感覚っていうか。
E: そういう視点もあるんだ。
M: 日本人だからこそ楽しめる和楽器、みたいな。三味線や三線、尺八とかね。そういったレコードをクラブでかけると、音楽好きはひっかかってくるというか。
E: それは年齢に関係なくですか?
M: 年齢は関係ないですね。ただやっぱ〈レコード好き〉っていう枠があるような気がするんすけどね。好きな人はやっぱり「これなんすか?」ってブースに近づいてきてくれます。
※1:NYのヒップホップ系レコードショップFat Beatsの東京支店。初めは裏原宿に店舗があったが、後にHomebassと名称を変えて渋谷に移転している。MACKA-CHINが働いていたのは裏原宿に店があった頃。
※2:1989〜1996年まで渋谷にあったDJ向けレコードショップ。当時はDJ TAIKI、MAKI THE MAGICがスタッフとして勤務していた。
- Profile
- 東京都足立区出身。ニトロ・マイクロフォン・アンダーグラウンドのメンバーとして活動し、ラッパーとしてはもちろん、アーティストへの楽曲プロデュースやトラック制作などもこなすアウトプット・ディレクター。ソロ活動ではトラックからラップまで全て1人で創るスタイルでジャンルの壁を越え、ヒップホップにとどまらず他のジャンル界からも話題になる作品を発表し続けている。2018年からはTOKYO FMにて音楽番組《KING OF DIGGIN’》のパーソナリティも務めるなど、色んな意味で目が離せないMCであり、プロデューサーであり、DJであり、ビジュアルクリエイターである。