TOMOE INOUE
Our Covers #094

TOMOE INOUE

宅録純音楽家 / ラジオ浄土寺便

私イノウエを構成する上での重要なエレメント=軽音楽(イージーリスニング)の楽しい歩き方、美味しいレシピ、皆さまにとっての再発見となる選曲となれば幸い。
前半は、一世紀近く前に生まれ今も尚あらゆる方面でカバー&愛聴されている名曲中の名曲とも言えるデューク・エリントンの「Caravan」を、後半はクラシックのカバーをお届けします。

Caravan
Title

Caravan

Artist
Les Paul
Original
Duke Ellington - Caravan
『Les Paul NOW!』(1968年)より。楽器だけでなく録音、特に多重録音技術の面でのパイオニア、レス・ポールの初期ヒットを再構築した実験身あふれる《Phase 4 Stereo》シリーズよりご紹介します。ここで耳にするギターには無限の万能感さえ感じられ、ギターの意味すら一変させる魔法的な閃きやアイデアが一杯詰まり、まさに異次元ポータルが大いなる見えざる意志によって私の目の前で大きく開かれた瞬間とも言える脳天直下アルバム。
Caravan
Title

Caravan

Artist
The Three Suns
Original
Duke Ellington - Caravan
『Movin' 'N' Groovin'』(1962年)より。1940年代から活動していた〈独身貴族音楽〉又は〈エキゾチカサウンド〉を代表するギター、アコーディオン、電子オルガンから成るアメリカの軽音楽トリオ、ザ・スリーサンズよりご紹介します。RCAビクターの《Stereo Action》シリーズという、当時としては革新的で画期的な録音効果として2対のスピーカーの間をダイナミックに行き交うサラウンドサウンドを打ち出した録音が採用されているので、耳だけでなく、目にも音のワイルドな動きを体感できて、その効果を存分に生かすためにユニークな仕掛けが散りばめられていています。
Caravan
Title

Caravan

Artist
Los Admiradores
Original
Duke Ellington - Caravan
『Bongos/Flutes/Guitars』(1960年)より。記録媒体として従来の磁気テープより優れた35ミリ磁気フィルム録音技術のパイオニア、《Command》レコードはこのstereo最初期に驚異的な音の素晴らしさで最高級のサウンドを追い求める世界のオーディオファンを唸らせてきました。その創設者のイノック・ライト監修による軽音楽コンボ、ロス・アドミラドレス名義でボンゴ、フルート、ギターをフィーチャリングし手練のスタジオミュージシャンを一同に配し、繊細で巧妙な最上級の質感に仕上げられた、それは美しく庭の整備された郊外の住宅でミッドセンチュリーの家具に囲まれ、ステレオ対応の高価なオーディオセットを完備したラグジュアリーな空間(=リビング)での音の壁紙のようです。
Caravan
Title

Caravan

Artist
Tom Hazleton & Gene Ciszek
Original
Duke Ellington - Caravan
『Explorer』(1967年)より。アメリカ、カロライナ州に拠点をもつアレン・オルガン・カンパニーの子会社で、1982年まで存在していたロッキーマウント社の最初に製造されたコンボオルガンその名も〈EXPLOER〉の販促用に作られたレコードよりご紹介します。オルガンのデモンストレーターのトムとドラムパーカッションのジーンというシンプル編成ながら宣伝用なので選曲は幅広いものとなっています。ラウンジアルバムとして聴けなくもないのですが、独特の音色と血の通わない演奏が聴き手に容赦しない印象で「~ながら音楽」とはいかない妙な緊張感もあり、「Caravan」を不穏に昇華しています。個人的にシンパシーを感じます。
Caravan
Title

Caravan

Artist
The Polyphonics
Original
Duke Ellington - Caravan
『Zounds! What Sounds』(1959年)より。ハーモニカトリオ、ザ・ポリフォニックスの、とても3人で奏でているとは到底思えない超絶離れ業による「Caravan」は行商でラクダに乗って砂漠をゆったり横断するどころか、まるでジェットコースターで旅をしているかのような、、、酔い止めMUST(嘘)
白鳥
Title

白鳥

Artist
都家歌六
Original
Camille Saint-Saëns - Le Cygne (The Swan)
『究極の “のこぎり音楽”(第2輯)愛と夢のクラシック名曲集』(2001年)より。今は亡き落語家でノコギリ音楽を寄席芸にしたパイオニア、八代目都家歌六師匠の演奏を聴いたのが旅の途中、飛行機の機内でした。何とはなしに機内音楽プログラムを楽しんでいたのですが、突如耳に飛び込んできた未体験の音? それは私だけが傍受してしまった謎の周波数帯なのか? 耳を疑うも地上1万フィート上空を飛行する体感とそれが奏でる無重力感が私を一瞬にしてここではないどこかへ連れ去ってくれる、それがノコギリ音楽、都家歌六師匠との初対面となった記念すべき唄うノコギリをサンサーンス作曲の「白鳥」で堪能下さい。
ピアノソナタop.13<悲愴>第2楽章
Title

ピアノソナタop.13<悲愴>第2楽章

Artist
セキトオ・シゲオ
Original
Ludwig van Beethoven - Sonate für Klavier Nr.8 "Pathetique" c-moll Op.13
『華麗なるエレクトーン −パセティック−』(1976年)より。ヤマハ音楽教室でエレクトーンを習っていた私ですがまさに灯台元暗しとはこのことか、こんな素晴らしい鍵盤奏者が国内にいたとは知らずのらりくらり生きてきました。なんてことだ。それも尊敬する故寺内タケシ先生が実践されたエレキがロックだけのものではないと、果敢にも色々なジャンルに挑戦されてこられたパッションをこのセキトオさんにも感じることができました。超絶技巧に裏付けされたアレンジの多様さ、切り口には唸るしかありません。今回選んだベートーベン作曲の「悲愴」の二楽章ですが、一楽章の激しさと対照的で敢えてこちらにしてみました。個人病院の待合室で流したいと思わせる軽音楽感、程よくメロドラマ感あり。
Canários Acomp.
Title

Canários Acomp. "Tristesse"

Artist
Johan Dalgas Frisch
Original
Frédéric Chopin - Étude Op. 10, No. 3
『A Ave, A Selva, A Melodia... = Birds, Jungle, Melody...』(不明年)より。コロナショックで何となく休業を余儀なくされるという形で喫茶を閉めていた時ネイチャー系のフィールド録音を浴びるように聴いていたのを思い出しました。精神衛生上、自動運転的に無意識下でセレクトし愛聴していたアマゾンの密林の森でフィールド録音された野鳥の声で構成されたレコードから、ショパンの「別れの曲」をご紹介します。ブラジルの鳥類学者ジョアン・ダルガス・フリッチによるリリースなので声の標本的なアレ? を連想されるかと思いますが、いえいえまさかの〈鳥たちの美声meets古典ナンバー〉という想定外の切り口。クラシックの名曲をアマゾンのド真ん中で聴いているかの未体験ゾーンへ連れていかれます。私的な見解ですが、イージーリスニングの棚が正解だと思います。
Omaggio a Delphone
Title

Omaggio a Delphone

Artist
Giampiero Boneschi
Original
Frédéric Chopin - Minute Waltz (Waltz of the puppy)
『Organ Hits a Gogo』(1971年)より。聴いたことはあるのに誰が作ったのか知らないTVやラジオ、広告媒体で流れる匿名性の高い音楽を専門に作る職業音楽家、そして一般流通しない〈ライブラリー〉というジャンルを知るきっかけにもなったイタリアのライブラリー作家で、電子音楽界の巨匠、ジャンピエロ・ボネスキのクラシックから誰でも知るヒット曲を脱力調理するカバー集より、ショパン作曲「子犬のワルツ」をご紹介します。子犬の落ち着きの無さはここでは皆無。きっとイイトコの子犬様であろう振る舞いを感じさせる優雅さのある子犬のワルツに仕上げられています。彼のいぶし銀とも言える仕事ぶりを感じさせてくれるアルバムです。
Chopsticks
Title

Chopsticks

Artist
Valentino
Original
Arthur de Lulli (Euphemia Allen) - The Celebrated Chop Waltz
『The Cordovox Magic of Valentino』(1970年)より。両手の人指し指1本で演奏ができるピアノ曲〈チョップスティックス〉を奇想天外なアクロバティックなアレンジで最終的には軽音楽として楽しめてしまうアイルランドのアコーディオン奏者、ヴァレンティーノのアルバムよりご紹介します。アコーディオンはアコーディオンでも世界で1つだけのアコーディオン、つまり彼のために2千ポンド以上の費用をかけて(当時だといくらだ??)特注制作されたコードボックスアコーディオンを全面アピールしたアルバムで、いうなればオルガン機能をアコーディオンに組み込んだ電化アコーディオン。あらゆる楽器の音はもちろんジェット機や列車の音まで再現できる70年代としては画期的な発明品だったのでしょうが、一般流通したかは謎です。チョップスティックに話を戻すと、彼の芸風かと思われますが、1つの曲の中に他の曲をミックスするというアレンジが炸裂。「青きドナウ」、「運命」もシレ~っと割り込んくるのもご愛嬌。余談ですが、ジャケットの衣装には1万ポンド以上の保険をかけてたとか。
Profile

元《喫茶イノ》店主、現在は絶滅危惧音源を独断と偏見でレスキューしご紹介し成仏させていく架空のマンスリーラジオCD-R『ラジオ浄土寺便』の客室乗務員、井上智恵として旅のお供をさせて頂いております。余暇はビンテージカシオトーン、アナロオグシンセ、リズムマシン等で自作自演独演器楽集を細々と制作。現在4枚目となるソロアルバムその名も『PHARMACY MUSIC』発売中です。
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