國友洋平
Our Covers #082

國友洋平

pianola records / conatala

今回は当店らしく、ちょっと奇妙で風変わりだけどロマンチックに調理した知られざるカヴァーを中心にピックアップしました。

Bargeld Amore
Title

Bargeld Amore

Artist
Lost Gringos
Original
RIta Lee - Lança Perfume
80年代ドイツを代表する奇天烈系NEW WAVEユニット、Der Planが主宰となり多数の実験NDW作品を輩出した名門レーベル《Ata Tak》に1枚のアルバムと数枚のシングルを残している架空の無国籍ポップユニット。Doobie Brothers「What A fool Believes」ライクなRita Leeの名曲「Lança Perfume」を全く歌詞を変えて、ドイツ語で「お金大好き!」と無垢な子供たちに歌わせた首謀者ピロレーターのシニカルなセンスがお洒落です。
Theme From a Summer Place
Title

Theme From a Summer Place

Artist
The Blitzoids
Original
Max Steiner - Theme From a Summer Place
80年代から90年代前半にかけて、The Residentsを彷彿させる奇妙で芝居じみた終わりのない悪夢のような作風で2枚のアルバムといくつかのコンピレーションアルバムに曲を提供しているシカゴ出身のバンド。映画『避暑地の出来事』の主題歌として、Percy Faith楽団が吹き込んだ誰もが知るあのメロディーを、避暑地で何も起きたことが無い人たちがカズーとエレキギターとテープ操作などでビザールにこさえたような、オリジナル以上に夢見に宙を漂うロマンチックな仕上がり。イリノイのマイナー・エクスペリメンタル系自主レーベルの名コンピ・シリーズ『What Is Truth?』の第2弾(1988年)に収録。
How Deep Is Your Love
Title

How Deep Is Your Love

Artist
上海大厦バンド、和平飯店バンド
Original
Bee Gees - How Deep Is You Love
ペヨトル工房創刊のアート・カルチャー誌『夜想』からリリースされた『夜想音像版別冊2 上海星屑(カセットブック)』。租界時代、欧米文化の最先端が集まる上海で栄えたジャズバンドたち。文化大革命以降、外国人向けホテルの夜宴でしか見ることができなくなっていた2つのホテルの箱バンを幻のジャズバンドと見立て、北京政変以後の1982と83年に現地で録音されたもの。殆どが60代というメンバーで構成されるバンドのようで、ヨレヨレで最高の演奏を聴かせてくれます。観光客向けにレパートリーに入れたと思われる「How Deep Is Your Love」はウェイターが配膳する様子、食器が当たる音、客達の話し声や拍手、会場の雰囲気も包み込んだラフな録音がまた臨場感があって脳内タイムスリップ!
Uncle Meat
Title

Uncle Meat

Artist
The Grandmothers
Original
The Mothers of Invention - Uncle Meat
Frank Zappaがキャリア初期に組んでいたR&BグループThe Soul Giantsが発展して形成されたThe MothersもしくはThe Mothers of Invention。音楽史に残る神憑った作品を連発していたザッパを支えていながら、ザッパによってクビにされたバッキング・バンドが1980年から活動を再開、『Looking Up Granny's Dress』は1982年に《Rhino Records》からリリースされたもの。ザッパが嫌がっていたという話は置いておいて、「Uncle Meat」ほか殆どザッパ曲のカヴァーメドレーとなっており、異常なほど完璧に構築された本家のソレとは違い、肩の力が抜けた片田舎のロックバーで演奏してるユルい箱バンって感じでいい塩梅です。
The Love Market
Title

The Love Market

Artist
The Happy End
Original
Hanns Eisler - The Love Market
ブレヒト劇から名前をとった英国のブラス・バンドThe Happy Endが1985年に自主レーベルより発表した1st LP。男女均等に玄人素人を含む約20名で構成されたこのグループは、ブレヒト劇曲(ワイル、アイスラー)を中心に、南米の革命歌、マオイスト国歌、英チャーチスト運動、鉱夫の抗議歌、アイルランドのジグ・ミュージック、南アフリカのタウンシップ(アパルトヘイト時代の旧黒人居住区)ジャズなどをレパートリーに3枚のアルバムを発表。初期のギグは反サッチャー運動や鉱夫のストライキの一部であったという強烈な反体制の姿勢ながら、ユーモアとエンタメ性豊かなジャズ、ラテン、クレズマーと自在なアレンジで洒脱にキメてくれます。取り上げた曲も絶妙すぎる転調に腰が砕けます。
I Can’t Give You Anything but Love
Title

I Can’t Give You Anything but Love

Artist
Le Grand Magic Circus
Original
Jimmy McHugh - I Can’t Give You Anything but Love
アルゼンチン生まれの喜劇作家でPierre Barouhの作曲や、初期《Saravah》レーベルからもレコードをリリースしているJérôme Savaryがフランスで主宰したコミックオペラ劇団Le Grand Magic Circusによる1975年作『Le Boucher, La Star Et L'orpheline』に収録。街角の大衆音楽を切り取ったような素朴な内容で、ブロードウェイ・スタンダードでビリー・ホリデイも歌った「I Can’t Give You Anything but Love」は肩組んで歌いたくなるような場末の酒場バイブスで胸がいっぱいになります。
In the Sky & Et Méme
Title

In the Sky & Et Méme

Artist
The World of Love
Original
Françoise Hardy - In the Sky / Et Méme
DNAのIKUE MORIとNYダウンタウンの即興シーン周辺のコンポーザーDavid Garland、Cinnie Coleの3名による単発ユニットThe World of Loveが1989年にレコメン系レーベル《Review Records》からリリースした作品。シンセ、バンジョー、アコーディオン、トイピアノ、テルミン、フルート、電子音楽など様々な楽器を使用した夢見変テコポップでフランソワーズ・アルディの名曲「In the Sky」と「Et Méme」をメドレーでやっちゃうという何ともニクい事をやってます。混沌とロマンスの間のギャップを埋めるラブソングと即興作品の演奏に専念する共同プロジェクトとのこと。
Meditation
Title

Meditation

Artist
Sel Duncan & Orchestra
Original
Jules Massenet - タイスの瞑想曲
カリブ海に浮かぶ小国トリニダード・ドバコのアルト・サックス奏者Sel Duncanが率いた楽団によるライヴ盤『Concert at the Hall』。60年代前半、主にフォーマルなダンスパーティーで演奏活動をしていたそうです。複雑な歴史背景や多人種文化の背景もあるためか、インストゥルメンタル・ビッグバンドのスタイルで演奏するレパートリーはカリプソからボレロ、マンボ、サンバ、そして本曲のようなクラシック・ナンバーまで幅広く、哀愁たっぷりのムードで聴かせる極上のエーテル・ダンス・ナンバーに仕上げています。手を組んで踊る大人の男女をバックに演奏する幻の楽団とダンスホールがレコードから蘇るようです。
Comme à La Radio
Title

Comme à La Radio

Artist
Blaguebolle
Original
Brigitte Fontaine - Comme à La Radio
Lô、Marvelous Band、Wordshop De Lyonといった南仏発信のポストフリージャズや、フィールド録音作家Jean C. Rochéの作品群をリリースしている《L'oiseau Musicien》レーベルからリリースされた、歓喜と哀愁のブラスを奏でる覆面ピエロの楽団Blaguebolle唯一となる1978作のLP。その正体はマルセイユの即興音楽コミュニティGRIMを組織するサックス奏者Andre Jaumeや打楽器奏者Gérard Siracusaといった面々。「El Pueblo」「Bella Ciao」「Internationale」といった革命歌のほか、Brigitte Fontaine& Areskiの名曲「ラジオのように」やフェリーニ「8½」のテーマ(Nino Rotta)まで。
Taboo
Title

Taboo

Artist
Leon Berry
Original
Ernesto Lecuona - Taboo
アメリカのクラシックなスケート場には未だにオルガンが常設されていて、専属の演奏者が愉快なBGMを聞かせてくれるそうです。こちらは古き良きスケートリンク・オルガンによる超キラーな「Taboo」や「Doll Dance」「Caravan」 など嬉しいスタンダードの演奏を収録した1956年のLP『Glockenspiels Traps And Plenty Of Pipes』。暴走気味に打ち鳴らされる機械仕掛けの太鼓&グロッケン装置と巨大なパイプオルガンによる分厚い旋律が迫ってきます。タブー聴きながら滑るのも妙な感じですが一度は訪れてみたいものです。イリノイ州シカゴの《The Hub Rink》にて録音。
Profile

下北沢でレコード店《pianola records》と《conatala》というレーベルの主宰をしています。幡ヶ谷《Forestlimit》毎週木曜日開催のリスニング・パーティー〈ideala〉レジデンツDJなど。
pianola-records.com
conatala.com
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