廣瀬大輔
Our Covers #049

廣瀬大輔

ELLA RECORDSスタッフ / DJ / ライター

「(Somewhere) Over the Rainbow」

どこか虹の彼方の向こう もっと高いところに
いつか子守唄で聴いた国

どこか虹の彼方の向こう 空は青く広がって
そこは貴方が描いた夢が叶う場所

いつの日か私は星に願いをかけるでしょう
そして目覚めると雲は私のはるか遠くで
悩みはレモン・ドロップのように溶けてしまって 
煙突の先よりもっと高いところ
そこに私はいるでしょう

どこか虹の彼方の向こう 青い鳥は羽ばたいて
鳥たちは虹の彼方のその向こうに飛んで行く 
それなら私にだって行けるはず

もし幸せの青い小鳥たちが 虹を超えて飛べていけるなら
私にだって行けるはず

Over the Rainbow
Title

Over the Rainbow

Artist
Ben Webster
Original
Judy Garland - Over the Rainbow
①冒頭、勝手に和訳してみました。映画『オズの魔法使』でJudy Garlandが歌った有名な楽曲です。皆様ごぞんじの異世界冒険譚なお話で、ここではないどこかへ、と、いつの時代もどこかで誰かが願いつつ、やっぱり幸せはココなのね、という結末はいっそのこと理想郷を見つけてはちゃめちゃに幸せに暮らしてもいいのではないか、と逆張りで思ったところで、まぁやっぱりこの結末が寓話として良きお話であるのかなって思います。因みに子供にとっての理想郷ネヴァーランドで楽しく幸せに暮らしていた子供たちは成長し大人になるとピーターパンに一人残らず殺されます。
Over the Rainbow
Title

Over the Rainbow

Artist
James Moody And His Band
Original
Judy Garland - Over the Rainbow
②『オズの魔法使』でJudy Garlandが歌った「Over the Rainbow」のジャズ・カヴァー、その中でも基本的にはインスト・カヴァーのみをお題としてみました。宜しくお願い致します。自分はホンカー系サックスの咽び泣きのバラードが大好きです。この事について語り合う友もおりませんので個人の愉しみです。酒が旨いし。最高。最近はフリー/アヴァンかピアノ・ソロかホンカー・バラードばかり聴いています。まるで淋しい人みたいですね。それ故ですが自分の一番好きな「Over the Rainbow」のジャズ・カヴァーはBen Websterのヴァージョンです結論。ワンホーンが深く深く、寄り添うピアノもまた素敵です。毎夜咽び泣けます。ひとりかも寝む。
Over the Rainbow
Title

Over the Rainbow

Artist
Django Reinhardt
Original
Judy Garland - Over the Rainbow
③Ben Websterのヴァージョンですとピアノのイントロからサックスの主旋律に入る一吹き目のその一音の前に「ウン」と一拍のタメが入るのですが、これって例えば「天城~越え~」の前のタメと同様というか演歌というか、演歌に含蓄は全く無いのですけれども、主旋律が入る前からもう既に主旋律がもたらす予兆の1つの休符が魅力的なのって凄くないですか。どうですかね。全編でタメるタメないでメロメロできます。66年の作品。次はJames Moodyの56年のヴァージョンです。彼も録音時的にはホンカー系に分類してもよいかなと思います。
Over the Rainbow
Title

Over the Rainbow

Artist
Chet Baker Sextet
Original
Judy Garland - Over the Rainbow
④James Moodyのヴァージョンは4管アンサンブルですが、主旋律のテーマのフェイクの入れ方が、逐一そう来たか、と思わせる譜面上をオフタイムでカクカクと行くのですが、これがなかなかクセになります。あくまで他の3管は添えるだけのアンサンブルに徹し、ピアノも素敵なのですがクレジットは無し。アレンジはQuincy Jonesです。そしてDjango Reinhardtのヴァージョンですが、オリジナルよりももっとオールドタイミーなStephane Grappellyのヴァイオリンとのジプシー・スウィングでウキウキ感満載です。きっと初出はSP盤になるかと思います。SPで聴くともっと楽しいのでしょう。
Over the Rainbow
Title

Over the Rainbow

Artist
Lou Donaldson
Original
Judy Garland - Over the Rainbow
⑤次はコマが追いついてませんがChet Bakerです。本曲収録の62年作『Chet Is Back』はどこから‘Back’したのかというと色々あってのいわゆる「お勤めご苦労様です」なイタリアでの録音作です。バックはイタリアのみならずヨーロッパ各国からのセクステット。色々調べていたのですけれどこの曲のトランペッターのカヴァーって意外に少なくって、もしかして2音目のハイノートがキツイのかなとか思ったりしてChetもハイノートを避けるように急に1オクターブ下げたりしてますが、そんな事ないですかね。ちゃんと吹いてるとこもありますしね。無粋ですね。純粋にロマンチックに浸りたいですよね。
Over the Rainbow
Title

Over the Rainbow

Artist
Ganimian & His Oriental Music
Original
Judy Garland - Over the Rainbow
⑥いわゆるコテコテ系オルガン・ジャズにもこの曲のカヴァーは幾つかあって、Lou DonaldsonはLonnie Smithのオルガンがたなびく中でプレイします。ギターもドラムも添える程度。この曲ってメロディーが最高なのでそこをフィーチャーするためか、それぞれのソリストのクセやフェイクのアレンジの特徴が出るので面白いなって思いました。次はアレンジ勝負のアルメニアン・アメリカンのCharles Ganimianによるヴァージョンです。中東的スケール等でこねくり回しはせず、純粋にエスニックな楽器とジャズの融合のアレンジを楽しみましょう。彼のオードが主旋律を奏でます。
Over the Rainbow
Title

Over the Rainbow

Artist
Byard Lancaster
Original
Judy Garland - Over the Rainbow
⑦やっと本文が追いつきました。読みにくかったらごめんなさい。一番好きなカヴァーはBen Websterと申し上げましたが2番目に好きなのはこのByard Lancasterのテイクです。一人飲みの始めはByard Lancasterで酩酊したらBen Websterを聴いておやすみなさいがお薦めです。(1音目ではなく)2音目から主旋律はフリーキーながらも比較的キープしているのですが、リズムもベースのアルコも時に攻めつつ、エフェクティヴに飛ばしたりもしたりして、フェイクに身も心も揺さぶられる私たちがドランカーです。ちなみに本稿の最後の楽曲以外は音源がYoutubeにあること確認しました。一人酒のお供に聴いていただければ幸いです。
Over the Rainbow
Title

Over the Rainbow

Artist
Sun Ra
Original
Judy Garland - Over the Rainbow
⑧意外にも、かどうかは分からないですがSun Raはライヴ盤含めてこの「Over the Rainbow」を収録したアルバムを幾つかリリースしています。そして意外にも、かどうかはやっぱり分からないのですが、かなりご機嫌なアレンジでカヴァーしています。リリカルなピアノ・ソロのイントロから徐々にメロディーが不穏な左手とともに現れ、時に破壊衝動に突き動かされてしまうSun Ra御仁。と思いきやそこからはスウィンギーなプレイに変わりお客さんからは拍手と笑い声。ど頭のみホーンが参加ですがその後はピアノ・ソロとピアノ・トリオです。
Rainbow
Title

Rainbow

Artist
Sam Rivers
Original
Judy Garland - Over the Rainbow
⑨77年に「Vol.5」までリリースされたニュー・ヨークのロフト・ジャズを伝えるコンピレーション・シリーズの「Wildflowers」。このシリーズの陣頭指揮者でもあったSam Riversによる「Over the Rainbow」は冒頭のソプラノのカデンツァ・ソロでほんの時々その節を思わせるフレーズも出てきますが、あくまで「Over the Rainbow」は題材といったところ。そして最後はGlobe Unityを仕切ったドイツのインプロ・ピアニストAlexander von Schlippenbachとスウェーデンの異端ミュージシャンSven-Ake Johanssonのデュオです。ドラムを叩きながら一部Johanssonが歌ってますが、これはこのご両名にピンと来た方にチェックいただければいいかなと思います。
Over the Rainbow
Title

Over the Rainbow

Artist
Alexander Von Schlippenbach / Sven-Ake Johansson
Original
Judy Garland - Over the Rainbow
⑩このお話をいただいてまずはテーマを決めなきゃ書けなそうだな....とさんざんに悩んだのですが、自分も好きで多くの方が知ってるカヴァー楽曲が楽しめるかしらと思い『ティファニーで朝食を』の「Moon River」かこちらの「Over the Rainbow」にしようかなといったところで、「Over the Rainbow」の方が自分の知っている範囲でヴァラエティ豊かなカヴァーがあったので、今回「Over the Rainbow」をテーマに書かせていただきました。最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。楽しく書かせていただきました。音源も何処かで聴いていただければ嬉しいです。ではでは今宵も一人酒を愉しみましょう。
Profile

ヴィンテージ・レコード・ディーラー&ショップElla Rrecords所属。かつてはDANCE MUSIC RECORDのジャズ・バイヤーとして新譜を供給し、ライターとして“Jazz Next Standard”シリーズや「Jazz Meets Europe」、「500 Club Jazz Classics」、“Jazz The New Chapter”シリーズ等の書誌や多くのライナーノーツ等へ新旧問わずジャズ / クラブ・ミュージックに関する執筆 / 寄稿、またDJ / 選曲活動を行う。

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