伊藤一樹
Our Covers #029

伊藤一樹

演芸&レコード愛好家

落語家、講談師、漫談家など、演芸関連のカバー曲を中心に集めました。ジャケットも曲も歌も楽しいものばかりです。ぜひ見て聴いてください。

恋のホワン・ホワン
Title

恋のホワン・ホワン

Artist
三遊亭円丈
Original
Nick Lowe - Cruel to Be Kind
英歌手ニック・ロウの「Cruel to Be Kind」を、新作落語のパイオニア、三遊亭円丈がカバーしたのがこの曲。
落語の世界では一般的に、江戸から明治初期を舞台にしたものを古典落語、現代を舞台にしたものを新作落語と呼ばれている。新作落語といえども、古典落語の設定だけを現代に置き換えたような噺が多かった時代に、SFや文学的要素を取り入れた全く新しい世界観の新作落語を作り上げたのが三遊亭円丈だ。
しかし、天は二物を与えず。落語を創作する才能には溢れていたものの、歌の才能には全く恵まれなかった。その歌声は驚くほど味わい深く、独特。けど、これがクセになる。フィル・スペクター風の編曲も心地がよく、噺家シングルの代表格と言える一曲。
ポークサラダ兄ィ
Title

ポークサラダ兄ィ

Artist
田辺一鶴
Original
Tony Joe White - Polk Salad Annie
元は米シンガーソングライター、トニー・ジョー・ホワイトの楽曲。エルヴィス・プレスリーがカバーしたことでも知られるこの曲を、講談師、田辺一鶴が日本語カバーした。
見た目通りの風変りな人だったといわれる田辺一鶴だが、講談への愛の深さは計り知れない。戦後低迷していた講談界を盛り上げるべく、二つ目時代(落語・講談界には、前座・二つ目・真打という身分制度がある)から弟子を取り後進を育成。いち早く女性講談師の育成にも力を入れた。現在の講談人気は、神田伯山が牽引している。しかし、その下地を作ったのは、間違いなく田辺一鶴だと思う。ロックのビートに載せた一鶴の軽妙な語りを、存分に楽しもう。
いやんばか~ん・・・・
Title

いやんばか~ん・・・・

Artist
林家木久蔵
Original
William Christopher Handy - St. Louis Blues
人気TV番組『笑点』の黄色い着物でお馴染み、林家木久蔵(現:木久扇)の人気シングル。元曲はW・C・ハンディ作曲の「St. Louis Blues」。ジャズのスタンダード・ナンバーだ。この曲のBメロ部分に、お色気とユーモアがたっぷりつまった歌詞を付けて歌い上げる、木久蔵のおバカキャラを象徴する一曲。
落語をやる前は漫画家だった木久蔵。その画力は折り紙付きで、ジャケットのイラストも自身で手掛けている。清水崑の元で画力を磨き、古典落語の名人、林家正蔵(八代目)の元で落語の腕も磨き、それでいて自身の能力に奢らず、人目を気にせずにバカになりきって観る者を笑わせる。そんな師匠に脱帽です。
東京節
Title

東京節

Artist
津田耕治
Original
Henry Clay Work - Marching Through Georgia
「ラメチャンタラギッチョンチョンでパイノパイノパイ♪」のフレーズが印象的な大正時代のヒット・ナンバー「東京節」。元は「大きな古時計」で知られる米作曲家ヘンリー・クレイ・ワークの「ジョージア行進曲」。日本では明治時代に邦詞が付いて軍歌として歌われていた。
今の歌詞を作ったのは添田知道。演歌師の草分けといわれた添田唖蝉坊の息子で、自身もまた演歌師である。当時の東京の名所を盛り込んだ歌詞で人気を博し、後の時代も、なぎら健壱やドリフターズなどによる、多くのカバーを生んだ。最近では、映画『カツベン』のエンディング曲として、奥田民生も歌っている。
数あるカバーの中で今回選んだのは、津田耕治のヴァージョン。添田唖蝉坊に焦点を当てたカバーアルバム『AZENBOの世界』に収録されている。歌謡ファンク・ロック調のアレンジは、他のカバーとは一線を画す仕上がり。レトロな雰囲気を感じさせるカバーが多い中、突き抜けていてカッコイイ!
わかんねエだろうナ
Title

わかんねエだろうナ

Artist
松鶴家千とせ
Original
童謡 - 夕やけ小やけ
アフロ・ヘアーにサングラス、「わかるかな~、わかんねえだろうな~」のフレーズで一世風靡した漫談家、松鶴家千とせ。ヒット・シングルのこの曲は童謡「夕やけ小やけ」のカバー。ジャジーなメロディ・フェイク、よく考えると大した意味はないのだけど、なぜだか聴かせる面白い語りで、千とせの世界を作り上げている。
 松鶴家千とせは八十才を超えた今もなお、舞台に上がり続けている。浅草の木馬亭で定期的に自身の演芸会を主催。さすがにアフロはカツラになったが、今も元気に「わかるかな~」と言っております。レコード聴くのも良いけれど、生の舞台も良いですよ。
ヤんなっちゃった節
Title

ヤんなっちゃった節

Artist
牧伸二
Original
The Crowel Glee Club - Kāua I Ka Huahuaʻi
ウクレレ漫談と言えばこの人、この曲。ハワイアン・ソング「タフアフアイ」をモチーフにした「ヤんなちゃった節」は、一九六一年のシングル発売以降、歌詞を変えアレンジを変え、二〇一三年に亡くなるまで、生涯に渡って歌い続けた牧伸二の代表曲。世相を風刺したり、単なるボヤキだったりと、歌詞の内容は様々だが、陽気なメロディーに載って聴く者の心にすっと届き、思わず笑ってしまいます。ハート・ウォームな笑いを求めている方にはオススメの曲です。
三枝のムラムラ日記
Title

三枝のムラムラ日記

Artist
桂三枝
Original
上田正樹と有山淳司 - とったらあかん
御存知、上方の人気落語家、桂三枝(現:文枝)。ラジオ、TVで人気を博し、シングル盤も多数発売された(昭和の時代、人気タレントはよく歌をリリースしていた)。そんな中、カバー曲と言えばこの曲。関西ソウル/ブルース界の雄、上田正樹と有山淳司によるアルバム『ぼちぼちいこか』収録の「とったらあかん」をほぼそのまんま三枝がカバー。元曲の関西言葉で綴られるフォーク・ブルースな感じも良いが、三枝のしっとりとねっとりとした艶っぽい語りも曲にマッチして実にイイ。バックの演奏もアメリカ南部風に仕上がっており、音楽ファンも納得の落語家シングルの一つだ。
マイ・ファニー・ヴァレンタイン
Title

マイ・ファニー・ヴァレンタイン

Artist
団しん也
Original
Mitzi Green - My Funny Valentine
日本屈指のエンターテイナー、団しん也の1stアルバム『Dancin’ Yah!』より、たっぷりとモノマネを堪能できるナンバーをご紹介。
80年代以降、歌番組の人気と共に多くの歌マネ芸人が誕生。流行歌手のモノマネが主流の中、異色の存在が団しん也。そのものまねレパートリーは幅広く、日本人だけでなく海外のポピュラー歌手まで有する。今回紹介したこの曲、ジャズ・スタンダード・ナンバー「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」用いて、三遊亭圓生にはじまり、ディーン・マーチン、ナット・キング・コール、プレスリー、サッチモ、シナトラ、ジェリー・ルイス、橋幸夫、東八郎とものまねを披露します。どうですか、凄いでしょ?さながら和製サミー・デイヴィス・ジュニアです。ちなみにサミー・デイヴィス・ジュニアも団しん也のモノマネ・レパートリーの一つです。
漫才 恋の山手線
Title

漫才 恋の山手線

Artist
青空千夜・一夜
Original
小林旭 - 恋の山手線
かつて宴会で披露されるかくし芸は、出世への足がかりであったとか、なかったとか。昭和の高度経済成長期には、かくし芸など、宴席向けのレコードがたくさん発売されている。そんなレコードの一つ、『宴会おはこ集 第二集』より、「漫才 恋の山手線」をご紹介。
「恋の山手線」は、四代目柳亭痴楽の定番ネタ「痴楽綴方狂室」の中の一つ。山手線の駅名を盛り込みながら、七五調で恋愛話を語る。これにハマクラこと浜口庫之助が曲を付け、マイトガイこと小林旭が歌いヒットした。さらに、この曲のカラオケをバックに漫才をするのが「漫才 恋の山手線」。漫才の内容は歌詞に準じ、ラストは「あーあー、恋の、山手線♪」のコーラスで終わる。一体これを、どうやって宴会で披露したのだろうか。
寿限無
Title

寿限無

Artist
山下洋輔
Original
古典落語 - 寿限無
カバー曲という括りとは少し異なるが、面白い曲をご紹介。子供たちにも大人気の古典落語「寿限無」。長い名前を言う言い立ての部分にメロディーを付け、フリー・ジャズ化。そんなことをやってしまったのは、日本フリー・ジャズ界の巨匠、山下洋輔。ピアノ・トリオでのいかにもフリー・ジャズっぽい『山下洋輔の世界vol.1』収録ヴァージョンも良いが、アヴァンさとポップさが同居した『vol.2』のヴァージョンは秀逸。何よりこっちのヴァージョンは歌が付いている。歌うは奇才・坂田明。渡辺香津美、向井滋春、村上ポンタらが奏でる無国籍サウンドに載せて、歌える落語であり、歌えるフリー・ジャズ!たっぷり詰まった遊び心を感じ取ってください。
Profile

1985年東京都東村山市出身。演芸&レコード愛好家。ジャズ・ギタリストを志し音大へ進学も、練習不足により挫折。書店勤務を経て、現在はディスクユニオンの書籍販売担当として勤務。出身地の影響からか、ドリフで笑いに目覚める。月数回の寄席通いとレコード購入が休日の楽しみ。演芸レコードの魅力を伝えるべく、2019年12月に『落語レコードの世界 ジャケットで楽しむ寄席演芸』(DU BOOKS)を刊行。
https://twitter.com/RAKUGORECORD

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