スライ・ストーンの楽曲をカヴァーした『Electro Voice Sings Sly Stone』から12年ぶりとなるセカンドアルバム『Black Transparent & White Pearl』(7曲すべてカヴァー)を11月22日にリリースしたばかりのSyunsuke Onoさんに、お話を伺いました。
武田洋(eyeshadow)
25 Nov. 2024
eyeshadow (以下E): 『Black Transparent & White Pearl』はどのような経緯で生まれたのでしょう?
Syunsuke Ono (以下S): もう3年以上前にうちの猫が死んでしまってしばらく何もせず暮らしていたのですが、名前がスペイン語の「8」って意味の〈オチョ〉だったので、何か8曲好きな曲をカヴァーしようと思いこのアルバムを作りました。
E: あれ、でもこのアルバムには7曲しか入っていないですよね。
S: 当初は8曲にするつもりだったのですが、8曲めを作っている途中に猫を譲渡してもらって、それからはなかなかギターを弾いたりすることが出来ないまま時間が経ってしまい、新しく何かを足すのも何か違うなぁと思って7曲で出すことにしました。
8曲めはBaby Face Willetteの「Behind The 8 Ball」に、CannonBall Adderleyの「Mercy, Mercy, Mercy」的なコードを付けてみたのですが、残念ながら完成まで至りませんでした。
E: 8曲めも聴いてみたかったです。ちなみにアルバムタイトルも猫にまつわるものですか?
S: はい、その猫が白黒猫で白いところはキラキラしていて、黒いところは光の加減では凄く濃い焦茶色に見えましたので、そこからタイトルを付けました。
で、多分《Squier》の工場で作ったと思われる、何故か《Fender》ロゴのテレキャスターシンラインに透明黒のものがあったので、ピックガードをホワイトパーロイドに換えてその猫っぽくしたギターを使ってこのアルバムを録音しました。
E: カヴァーした曲はどのような基準で選曲されたのですか?
S: 全曲もともとずっと好きだった曲ですが、特に歌詞が好きなものを選びました。
E: 歌詞が好きな曲を選んでインストでカヴァーするというのが面白いですね。ところで平均3分30秒の収録曲の中で、バカラックのカヴァー「A House Is Not a Home」はストーリー性のある展開で最長の6分5秒の大作ですが、これには何か意図などあるのでしょうか。
S: いえ、特にそういったものはありません。〈Cubase〉を使って録音していて、そういえばDAWって簡単にテンポチェンジ出来るなぁってずっと思ってたんですが、やってみたことがなかったのでこのカヴァーで試してみたというところです。そもそも上手く繋げて弾けなかったというのもあるのですが…。
E: そうだったんですね。4曲めの「Oh Babe, What Would You Say ?」から「A House Is Not a Home」の流れ、特に「A House Is Not a Home」は音色も展開も言うことなしですし、冬の陽射しにもあう名カヴァーだと思います。
S: ありがとうございます。感想をもらえるのが何より嬉しいです。
- Profile 音楽家。2012年にアルバム『Electro Voice Sings Sly Stone』を、2018年には3曲入りシングル「Urine Specific Gravity」をリリースし、2024年11月22日に全編インストとなる待望のセカンドアルバム『Black Transparent & White Pearl』を配信スタートした。
X (@SyunsukeOno)